2021 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション上で表出される相互行為的機能の日独比較―強調の副詞を中心に
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21K19982
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中野 英莉子 三重大学, 人文学部, 特任講師(教育担当) (60910825)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ドイツ語 / ドイツ語学 / 相互行為 / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はドイツ語で表出される相互行為的機能の解明である。そのためにドイツ語母語話者同士のドイツ語会話、ドイツ語母語話者と日本語母語話者のドイツ語会話と日本語会話、日本語母語話者同士の日本語会話を収録し、分析対象が表出する相互行為的機能と、相互行為的機能の表出にかかわる母語の干渉を分析する。 この目的を達成するために、当該年度では会話収録の準備と会話の収録の一部を行った。会話収録の準備として行ったこととして、収録機材および動画編集のソフトの購入と準備、会話収録に参加する被験者収集のための募集案内および同意書の作成とドイツ語への翻訳、さらにそれらについてネイティヴチェックを受けることを行った。同意書は、個人情報の保護およびデータの研究使用(論文および発表の場などでの収録会話の使用)についての説明と同意を得るためのものである。 機材がなければ収録ができないため、機材購入がなければ収録ができないのはもちろん、個人情報保護等の観点から募集案内及び同意書の作成も会話準備を行うために必須のものである。これらの書類を使用し、所属機関である三重大学と、三重大学の留学提携校であるハイデルベルク大学で被験者の募集を行った。三重大学から4人の応募、ハイデルベルク大学から3人の応募があり、4人(2ペア)の会話収録を実施し、日本語データを収録した。これら収録動画の会話の書き起こしを被験者に実施してもらった。残り3人については、日程のすり合わせがうまくいかず、当該年度中の実施が難しかったため、4月以降の会話収録実施の予定である。書き起こしおよび収録データをもとに、分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
収録機材や編集ソフトについては滞りなく購入することができ、収録環境については問題なくそろえることができた。被験者募集の案内と同意書の文面については、一度提示すると変更することが難しいため、時間をかけて日本語の文面およびその翻訳を作成した。この作業には時間がかかったが、重要性の高さから考えると致し方なく、また時間をかける必要性があったと言える。 被験者募集で人数が十分に集まらなかったことが、進捗を「やや遅れている」と評価した原因である。募集をかけることができた時期が学期末であり、学生が多忙な時期と重なったことが、応募人数が少なくなった原因であると考えられる。期末試験やレポートがあるため、研究協力に時間を費やす余裕がなかったのではないかと想定される。しかしながら、その状況でも4人(2ペア)の被験者による会話収録を実施し、またそのほかに3人の応募を得ることができた。また、この2ペアの会話収録を行うことによって、会話収録の基盤を整えることができた。残り一年間の計画を考えると、今期半年間で基盤を整えられたのはよかったのではないかと考えられる。また、収録の基盤を整えることができたため、今後はよりスムーズに会話収録を行うことができるだろう。以上のように、少々の遅れはあるが、大きな問題はないと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
会話収録の環境が整ったため、今後も引き続き、会話の収録を続ける。前年度は所属大学である三重大学および提携校であるハイデルベルク大学での募集を行ったが、今後は現所属先である岡山大学および、提携校であるボーフム大学の学生に協力を依頼する。被験者の多くは大学生となる予定であるため、授業履修やガイダンス等を終えて落ち着いた5月ごろに募集をかける予定である。また、京都女子大学および京都在住のドイツ人への募集をかける準備も整っている。予算の関係から、あと18ペア(日本語母語話者同士5組、ドイツ語母語話者同士7組、ドイツ語母語話者と日本語母語話者6組)の会話、計18時間分の収録を行う予定である。収録を終えた会話から、会話参加者である被験者に会話の書きおこしを依頼する。これは、個人情報保護の観点から、実際に会話を行った話者に書きおこしてもらうことにしている。書きおこしが完了した会話から分析を行う。分析を行うに際して、必要となった書籍および論文を購入し、随時先行研究の調査を行っていく。
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Causes of Carryover |
会話収録に遅れが生じ、想定していた数の会話の収録ができなかったため、次年度への使用に繰り越した。繰り越し分は、会話収録に際しての被験者への謝金および書きおこしに対する謝金と、必要な書籍等の購入のために使用する予定である。
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