2021 Fiscal Year Research-status Report
The Dynamism of Language Change: The Synchronic and Diachronic Interface of English Deverbal Prepositions
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21K19991
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
林 智昭 明海大学, 外国語学部, 講師 (70906693)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動詞派生前置詞 / 言語変化 / 文法化 / 通時性 / 共時性 / パンクロニック |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、動詞派生前置詞includingの事例研究を行い、Corpus of Contemporary American English (COCA) より抽出したデータについて、先行研究における前置詞を規定する種々のテストに基づき分析した。具体的には、(i) 等位接続テスト、(ii) 典型的前置詞への置換、(iii) 前置詞随伴、(iv) 強意副詞rightとの共起、による検証を行い、includingは文脈により頻度の高い前置詞amongへの置換が可能であること、動詞includeの原義が強く保たれている例であること、等を論じた。 第二に、文法化したseeingの分析結果を報告した学会発表におけるコメントを踏まえ、加筆修正を施して論文を執筆した。この用法は、通時的に存在し続けているものの、コーパスの頻度に顕著な推移が見られないstaticなタイプの文法化とされる (Mair 2004)。本研究では、言語現象の共時的な分布を通時的な言語変化の結果と捉え (cf. layering; Hopper 1991)、British National Corpus (BNC) から抽出したseeingの振る舞いに基づき (i) 前置詞、(ii) 接続詞、の例を抽出し、コーパスにタグづけられた生起ジャンル情報から考察を行った。結論として、前置詞のseeingは書き言葉で、接続詞のseeingは話し言葉で用いられる傾向があることを指摘した。この結果は、文法化したconsideringの用法と相似し、動詞派生前置詞・接続詞の用法に一定の傾向が見られることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、主に共時性の観点から動詞派生前置詞の事例研究を行うことを目的とした。当初の予定通り、先行研究に基づき、前置詞を識別する種々のテストによる検証を行うとともに、大規模コーパスから抽出した用例の振る舞いを記述し、文法化の観点から考察を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
伝統文法の記述に基づき、20世紀以降に文法化したとされる動詞派生前置詞の事例研究を中心に進めていく。具体的には、大規模コーパスからランダムサンプリングにより抽出した用例の品詞的振る舞いを検討するとともに、先行研究におけるテスト(典型的前置詞への置換、前置詞交替、等位接続テスト等)を用いて分析を行う。以上を通して言語変化のプロセスを記述し、共時性・通時性の接点を探っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、2021年12月に発表を行った学会がZoomを用いたオンライン開催(同時双方向配信)に変更となり、旅費の計上が不要となったため。 次年度の学会が対面形式による開催となれば、旅費、参加費として使用する予定である。参加予定の学会が遠隔で開催される場合、必要な図書等の購入に宛て、研究環境の充実を図る。
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Research Products
(2 results)