2022 Fiscal Year Research-status Report
日本とアルゼンチンの文化交流に関する研究―1930年代を中心に―
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21K19996
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高木 佳奈 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (10906788)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | アルゼンチン / 日系社会 / 文化交流 / 島崎藤村 / 有島生馬 / 藤田嗣治 / ウィリアム・ヘンリー・ハドソン |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も引き続き研究協力者のパウラ・オジョス・ハットリ氏(ブエノスアイレス大学)にブエノスアイレスの国会図書館での資料収集を依頼し、島崎藤村と有島生馬の第14回国際ペンクラブ大会参加に関する新聞記事を調査した。また東京の国立国会図書館では戦前にアルゼンチンで発行された日本語新聞を調査し、画家の藤田嗣治や矢崎千代二のアルゼンチン旅行に関する記事を収集した。 昨年度からの研究成果をもとに、藤村と生馬のペンクラブ大会参加についてスペイン語の現地報道を分析し、8月にメキシコシティで開催された国際シンポジウムで口頭発表(オンライン)を行った。 10月には、英国で活躍したアルゼンチン生まれの作家、鳥類学者ウィリアム・ヘンリー・ハドソンの没後100周年を記念する国際シンポジウムがオンラインで開催された。ハドソンの姪がアルゼンチンに移住した日本人と結婚したことをきっかけに、日本とアルゼンチンの間でハドソンを通じた様々な文化交流が行われてきた。今日ハドソンは両国の友好関係を象徴する存在となっており、シンポジウムではハドソンと日本のつながりや日本語への翻訳について発表した。11月には日本国内でオンラインの講演会を行い、日本におけるハドソンの受容について論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年はウィリアム・ヘンリー・ハドソン没後100周年という節目の年であり、当初の計画を変更してハドソンについて調査を行った。ハドソン自身はアルゼンチンを離れ英国で執筆活動を行い、日本を訪れたこともなかったが、彼の子孫や作品を通じた交流が現在まで続いており、日本とアルゼンチンの文化交流史において重要な存在である。 研究計画を変更した結果、予定していた島崎藤村・有島生馬についての論文執筆と藤田嗣治に関する調査に遅れが生じた。そのため本研究課題は1年間延長し、2023年8月にアルゼンチンでの調査を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はブエノスアイレスで資料収集を目的とした調査を実施する。また、これまでの研究成果を論文にまとめ、発表する。具体的には、島崎藤村・有島生馬のアルゼンチン訪問に関する論文及びウィリアム・ヘンリー・ハドソンと日本のつながりに関する論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画ではアルゼンチンで調査を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染症及び研究計画変更の影響で、まだ実施できていない。そのため1年間延長し、2023年8月にブエノスアイレスで調査を実施する。主に海外調査の旅費や複写費として使用する予定である。
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