2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20000
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
荒井 洋樹 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (40909777)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 平安和歌 / 私家集 / 中古文学 / 和歌文学 / ひらがな |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は2021年度に口頭発表した光俊本『躬恒集』下巻に関する論文を公刊することを優先し、活動を行った。この成果は投稿後の修正等を経て、査読雑誌『国語国文』の92巻1号(2023年1月)に掲載されるに至った。本論文で扱った光俊本『躬恒集』下巻は、三代集から躬恒歌を蒐集したものであるが、出典歌集との突き合わせを行い、三代集は非定家本を用いていることを明らかにした。同時に家集の編集についても目を向け、院政期に躬恒の評価が変わることと本集製作が不可分であることを指摘し、これまでほとんど研究対象となってこなかった他撰家集の意義を明示できたと考えている。 2022年度は上記『躬恒集』の考察を足がかりにさらに対象を他作品に広げて考察を深めた。具体的には『公忠集』と『三条右大臣集』の検討を進めた。両集検討のため、9月と12月の2回に分け、国文学研究資料館での伝本調査ならびに国立国会図書館での資料収集を実施した。このうち『公忠集』に関しては、年度内に検討を終え、論文化に向け作業を進めている。現在、投稿する査読雑誌の吟味と最終調整を行っており、2023年度内の公刊を目指している。『三条右大臣集』に関してはおおよその資料収集を終え、具体的検討を進めている。2023年度内に論文化し、2024年度内に査読のある雑誌に公刊できるよう、調整を進めてゆきたい。『三条右大臣集』は『兼輔集』や『大和物語』とも関係が深く、今後はこれらの作品へも展開してゆくことができると見通している。
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