2022 Fiscal Year Annual Research Report
未公開資料に基づくルネ・クルヴェル作品のハヴロック・エリスとサドの影響の研究
Project/Area Number |
21K20021
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 大悟 中央大学, 法学部, 助教 (60908002)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ルネ・クルヴェル / ハヴロック・エリス / サド / 性科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度にあたる2022年度、本研究は、両大戦間のシュルレアリスム運動に参加した作家・理論家ルネ・クルヴェル(1900-1935)の作品のうち、1933年の「小説」『皿に突っ込んだ足』を採り上げ、それをパリ・サント・ジュヌヴィエーヴ図書館内ジャック・ドゥーセ文庫所蔵のクルヴェルの未公開資料(読書ノート「サド(Ms.6933 1/10-10/10)」)と照合することにより、クルヴェルにおけるサドの影響について実証的に解明しようとした。 本研究はまず、研究代表者によってすでに解読・整理されている「サド・ノート」を、改めて精査した。次にこの資料と、読書対象となっているサドの著 作(例えば『小説論』『閨房哲学』『対話篇』等)を照合し、作家はサドから何をどのように読み取ったのか検討した。クルヴェルにおけるサドの影響については、追って所属機関の紀要や学会等で、成果報告をする予定である。 研究期間全体を通じた成果として、本研究は、2021年度における「エリス・ノート」、2022年度における「サド・ノート」の精査を踏まえて、作家の残した読書ノートの全体像を、「クルヴェルのアタッシュケース~読書ノートと読書リスト」と題して、研究機関の紀要として上梓した(中央大学仏語仏文学研究会『仏語仏文学研究』第5 5号)。これによって本研究のコーパスが、すこしでも可視化されたものと信じたい。また、2023年3月4日開催の「日本フランス語フランス文学会関東支部大会」において、「ハヴロック・エリスはルネ・クルヴェルに何を考えさせたのか?~エリス『羞恥心・性的周期・自体愛』とその読書ノート」というタイトルのもと、本研究の調査結果を報告した。この発表は、2023年度末に、学会誌『日本フランス語フランス文学会関東支部論集』(第32号)に仏語論文として掲載予定である。
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Research Products
(2 results)