2021 Fiscal Year Research-status Report
フランス第一次世界大戦期における文人外交官による対外プロパガンダ研究
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21K20023
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
上杉 未央 東洋大学, 経営学部, 講師 (60906311)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 第一次世界大戦 / ポール・クローデル / フランス文学 / プロパガンダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2021年度はコロナ禍の影響により、2回程度予定していたフランスでの資料調査を実施することができなかった。これまでに収集した資料、また、あらたに購入した書籍を用いいながら、主に、クローデルの外交・著作活動に関して、研究を進めた。 2021年3月に慶應義塾大学主催で実施された「クローデル・セミナー2021ークローデルとその時代」での口頭発表「日本におけるクローデルとバレス」の原稿を発展させ、「エック神父、クローデル、伝統主義ー日本におけるフランス文学受容の一側面」を執筆した。本稿は2022年度に水声社より共著として出版される見込みである。発表の際はクローデルとバレスの比較検討を主軸にしたが、論考では、二人の人物をつなぐ鍵として、バレスを好んで紹介していた、東京帝国大学のフランス雨文学講座の教授、兼、宣教師のエミール・エック神父の文学観や戦争観を、以前イタリアやフランスで収集した資料をもとに紐解くことで、作家と外交と戦争について、クローデル自身、あるいはクローデルの受容の特異性が際立つ内容となった。 また、論考「ポール・クローデルと戦争詩ー『聖女ジュヌヴィエーヴ』をめぐって」を発表した。クローデルの戦争参加の一例として、プロパガンダ部署に在籍した7カ月余りの最後の期間に執筆された、『戦争詩集』収録の詩作品を取り上げ、フランスが対外的に発信すべきであったメッセージを緻密に埋め込んだ作品を制作していたことを明らかにした。本論文は九州大学フランス文学研究会の「STELLA」40号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で子供の預け先が頻繁に休園となり、研究に割ける時間が減った。また、帰国後の制限などの問題により海外出張が叶わず、資料収集を予定通り実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
同時期に外交官作家として活躍した作家を専門とする研究者にコンタクトを取り、勉強会や研究集会を企画する予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張が叶わなかった分、書籍を購入したが、使い切ることができず、312円の未使用分を生じさせることとなった。来年度、出張する際に渡航費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)