2022 Fiscal Year Research-status Report
Development and Transformation of "Novel" and Its Form and Techniques in the Works of Jane Austen, Charlotte Bronte, and George Eliot: Through a Comparison of "Novel" and "Epic"
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21K20030
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
馬渕 恵里 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00612912)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | ジョージ・エリオット / 小説形式 / 叙事詩 / 小説(史) |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年4月より、本研究課題の申請および交付内定時には全く想定していなかった、日本英文学会事務局の業務を担当することになった。申請当初、本研究課題のエフォートは15%としていたが、校務のみならず、年間を通して非常に業務量の多い事務局の仕事が加わったため、研究時間の確保が困難になったことに加え、令和4年7月末から8月中旬にかけて、自身と家族の新型コロナウイルス感染症の罹患および感染拡大による学童保育所や保育所の長期閉鎖もあいまって、学休期にも研究時間の捻出が難しい状況であった。このような事情により、昨年度の実施状況報告書に記載した計画どおりに、ジェイン・オースティンの『エマ』(1815)についての論考を論文にまとめて提出することができず、またその他の作家・作品についても、口頭発表や論文として研究成果をまとめ発信できるほどには研究を進めることができなかった。しかしながら、少しでも研究課題を遂行すべく、令和4年度は出講との兼ね合いでジョージ・エリオットに焦点を絞り、テクストの精読を行った。具体的には、エリオットの自伝的要素が強いとされる小説『フロス河畔の水車場』(1860)を取り上げ、叙事詩と小説のジャンル的、形式的特質や差異という点から小説のテーマと構造・形式を考察しながら、テクストの整理・分析を進めた。令和4年度は、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が続いていたことにより、所属する大半の学会の年次大会がオンライン開催となったため、本研究課題遂行にあたり大いに参考になる他の研究者の口頭発表を拝聴できる機会が通常よりもかえって多くなり、「小説」というジャンルやジョージ・エリオットの「小説」の特徴などについて新しい視座を得ることができ、自身のテクスト分析作業に活かすことができたのは大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述のとおり、本研究課題の交付内定後に確定し現在従事している日本英文学会の事務局業務に加え、令和3年度末の春の学休期に引き続き、令和4年の夏に再び新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けてこどもたちが利用している学童保育所や保育所が長期間休所となったこと、および自身と家族の再罹患により、年間を通して、研究時間の確保・捻出がきわめて困難な状況が続いたため、さらなる遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の影響は次第に少なくなっていくと予想されるが、日本英文学会事務局員の任期は令和6年5月末までのため、令和5年度も研究時間の確保が困難な状況は続くと考えている。非常に限られた時間の中で少しでも研究課題を遂行するために、研究対象・内容を絞り込んでできるだけ効率よく研究を進めたいと思う。令和4年度に、本研究課題で扱う3人の作家の中で最も自身の研究が進んでいないジョージ・エリオットのテクスト分析に着手したため、令和5年度はジョージ・エリオットの『フロス河畔の水車場』と『ミドルマーチ 』(1871-72)の分析に集中したい。エリオットと彼女の作品に関しては、「叙事詩」という観点からの先行研究が存在するため、それらをさらに検索・収集し参照するとともに、可能な限り、エリオットの「歴史小説」に関する先行研究や、H・フィールディングの小説やW・スコットの歴史小説に関する論考も検索・収集し参照しながら、エリオット小説のジャンル的・形式的特質について、小説のテーマや構造・形式の点から考察を進めることで、「小説」の発達・変容の過程とその背景的要因や条件を明らかにするという、本研究課題の最終的な目標を少しでも達成できればと考えている。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」欄に記載のとおり、計画どおりに研究を進めることができず、年度内に購入・取り寄せできた書籍や文献の数が当初の予定を大幅に下回ったこと、経年劣化および新しいOSとの互換性の問題から買い替えを予定していたプリンタやスキャナといった周辺機器の選定・購入が年度内に完了しなかったこと、実際に参加できた所属学会の年次大会のほとんどがオンライン開催であったため、対面開催の場合にも対応できるよう想定していた旅費が一切発生しなかったこと、以上3つが主な理由である。 次年度使用額は、主に、令和4年度内に購入できなかった周辺機器等の購入にあてるほか、研究遂行に必要な文献・資料の購入・取り寄せにあてる予定である。また、令和5年5月より新型コロナが5類感染症に移行されたあとは、多くの学会が対面開催となることが予想されるため、令和5年度は過去2年間よりも旅費が多く発生する見込みである。
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