2023 Fiscal Year Research-status Report
Urban Space, Public Order, and Collective Identity in Early Modern Ottoman Istanbul
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21K20040
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
守田 まどか 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (40896304)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Keywords | イスタンブル / オスマン帝国 / シャリーア法廷 / 法廷台帳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オスマン帝都イスタンブルのシャリーア法廷と法廷台帳群の考察に焦点をあてた。都市の司法・民政を担ったカーディーが管轄するひとつの行政区(カザー)を形成した城壁内イスタンブルには、カーディーの主宰する法廷のほか、ナーイブ(代理人)の主宰する複数の法廷が存在したことが知られている。法廷はたんに都市民の紛争解決の場であっただけでなく、登記所や公証人役場、さらには命令を告知するための集会場としての機能も有し、各法廷で作成または受領した文書の控えが台帳に記録された。証書や上申書、勅令・大宰相令など多様な文書の控えが記された膨大な数の法廷台帳が今日に伝わっている。本年度は、これらイスタンブルの法廷台帳群の通時的調査を継続することで、18世紀前半イスタンブルにおいて、法廷が作成する文書のなかでの上申書の比重が増すとともに、法廷業務の集権化が試みられた様子が明らかになった。さらに、法廷台帳の一元的な保管がはじまる19世紀の法廷台帳目録を調査し、収集した史料の整理・分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、渡航先のイスタンブルで新型コロナウィルスに感染したために遂行することができなかった史料調査の続きを、本年度は遂行することができた。そしてその暫定的な成果の一部を、国内の学会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には収集した史料の整理と分析を引き続き行う。補足的な史料調査を行うことで、本研究課題を完成させ、その成果を論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国外での研究発表が情勢悪化のため延期になり、次年度使用額が生じた。この額は、次年度の渡航費にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)