2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K20041
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
古畑 侑亮 一橋大学, 大学院社会学研究科, 研究補助員 (10906902)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 井上淑蔭 / 色川三中 / 風土記 / 天文学史 / 西欧学知 / 神話的世界観 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる2022年度は、蒐集資料の翻刻と成果の論文化に力を注いだ。 アシスタントを増員し、撮影データの整理と翻刻作業とを加速化させた。その結果、前年度に翻刻した『国学徴』の続篇の他、神道や言語に関わる井上淑蔭の著作を翻刻することができた。 また、歴史論研究会での報告内容を発展させた論文を『考古学ジャーナル』770号に掲載、今後の研究のプロットとして示した。また、発表の概要についても『史鏡』6 号に要旨として掲載した。 年度の後半、土浦市立博物館からの依頼をきっかけとして、土浦の「地域派」国学者・色川三中の著作の調査を始めた。学芸員の方の協力を得て博物館の所蔵資料を探索するうちに、三中の著作が幕末における国学者の遺跡認識を知るうえで恰好の素材であることが判明し、分析対象に加えることになった。その後、奈良の天理図書館へ調査に赴き、三中の「発掘報告書」とも言える『黒坂命墳墓考』の複数のバージョンを比較検討した。そして、その成果を『土浦市立博物館紀要』33 号に掲載した。 さらに、西洋考古学の受容と西洋天文学の受容のあり方に共通性が見られることに気付き、井上淑蔭の宇宙論における国学思想と新しい学知との相克を分析した。その成果については、関東近世史研究会の3月例会にて報告の機会を得た。当日は、文人や考証家を研究する幅広い世代の研究者が集まり、貴重な意見交換をすることができた。今後の研究の指針を得ることができたのも大きな収穫である。
|