2021 Fiscal Year Research-status Report
戦国大名北条氏の当主・一門衆・主な家臣の発給文書における花押・祐筆の比較分析
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21K20048
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
浅倉 直美 駒澤大学, 文学部, 准教授 (80907882)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 小田原北条氏 / 東国戦国史 / 日本中世史 / 古文書 / 花押 / 戦国大名一門 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年における調査としては、千葉県佐倉市の宝金剛寺が所蔵している北条氏勝(小田原北条氏一門)寄進の「七条袈裟・横被」の修復完成における実地見分をはじめとして、茨城県立歴史館における江口文書(水戸市)36点、新潟県南魚沼市の普光寺文書19点および写本20点の古文書熟覧を実施した。いずれ東国戦国史の研究に欠かせない史料であり、花押型をはじめ貴重な成果が得られた。 あわせて、諸研究書および諸博物館等が刊行の図録、資料集の実見を通して、小田原北条氏の花押型を確認するとともに、小田原北条氏を中心とした東国戦国史の政治情勢の詳細な確認を行うことで、花押の変遷等の背景にも考察をくわえつつ、収集情報の蓄積にも努めた。 とくに、小田原北条氏一門のうち、二代当主氏綱の三男氏堯、三代当主氏康の次男氏照・四男氏規・五男氏邦については、自治体史・史料集の活用により、調査対象とする文書の一覧の作成を順次行っており、これをもとに、ひきつづき花押型の確認作業等を進めていく。 2021年度はコロナ感染症の影響により、古文書所蔵宅・寺社への閲覧申し込みが遠慮され、諸機関においても閲覧申し込み制限などにより、残念ながら十分な調査が実施できない状況であったが、社会状況を確認しつつ、調査実施を進めていきたい。 現在のところ検討している調査先としては、埼玉県日高市堀口文書、静岡県沼津市高橋文書、国文学研究史料館、東京大学史料編纂所、埼玉県立文書館、神奈川県立歴史博物館などであり、あわせて準一門とされた松田・遠山・大道寺の発給文書の調査も進め、花押型の変化をもたらす背景やそれぞれの類似性の意味するところを検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、花押型を実見・熟覧するための調査を中心に進めたいと考えていたが、コロナ感染症蔓延の影響は予想以上に大きく、調査受け入れ先が限定されることとなったため、実見・熟覧の点に限ってみれば、遅れているという評価を受け入れざるを得ない状況ともいえる。 しかしながら、十二分な対応がとれていない点は、花押の実見に関してのみであり、その分、多くの研究書・自治体史・史料集の確認につとめ、あわせて、広範囲にわたる情報収集にもとづいて確実な情報確保と画像入手に努力し、総合的には、やや遅れているという評価となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後における感染症の状況を考慮しながらも、古文書実見による花押型熟覧を実施できるよう情報収集および調整を行い、可能な限り古文書調査を進めていく計画である。 あくまでも実物の閲覧を前提に計画を進めていきたいと考えているが、社会情勢などから実見が難しい場合には、史料館・自治体史編纂室などに保管されている写真版を活用する方向で、多くのデータを収集し、分析する方法も、あわせて検討していきたい。
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Causes of Carryover |
年度末に小田原城天守閣および神奈川県立歴史博物館において開催の企画展に展示される古文書の熟覧を計画していたが、ふたたびコロナ感染症の蔓延拡大のために、やむを得ず急遽中止としたため、繰り越しが生じることとなった。今年度、あらためて関係文書の閲覧を申請し調査を行うこととしたい。
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