2023 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアにおける初期国家の展開と地域間交流に関する考古学研究
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21K20052
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| Research Institution | Waseda University |
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Principal Investigator |
横山 未来 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (70906700)
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| Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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| Keywords | カンボジア / 初期国家 / 先アンコール時代 / 土器 / 民族調査 / 製作技術 / 交流関係 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
3年目もカンボジアにおける現地調査を継続した。昨年度に引き続き、タケオ州のアンコール・ボレイ遺跡博物館において土器を中心とした考古資料の観察・実測・写真撮影を行った。アンコール・ボレイ遺跡は先アンコール時代の「扶南」の都市に比定されており、研究対象期で最も重要な拠点のひとつである。先行研究では、土器の胎土や文様などの特徴から３フェーズに分けられることが指摘されているが、具体的な器種組成や編年は明らかにされていないため、今回器種ごとに分類と特徴の把握を行ったうえで、発掘時の報告と照らし合わせ、変遷過程を検討した。
また、この時期は域外との交流が盛んになり、先史時代から続く伝統的な叩きづくりに加え、回転台技術が新たに導入される転換期でもあり、技術革新に伴う国家の発展の一側面を考古資料から明らかにできる可能性がある。製作技法に着目した観察も重視したが、技法や道具は、その地域の環境に大きく影響されるため、日本で培った知識に基づく検討では誤った解釈をする危険性が考えられた。そのため、現在もカンボジア国内で伝統的な土器づくりを行っている４州の村を訪問して、各器種の製作工程と道具による痕跡を観察し、古代の土器に残る痕跡と比較することで、より正確な技法の把握を目指した。
本研究は、先アンコール時代の都市遺跡を対象として、文字史料と考古資料の比較から、カンボジアにおける初期国家の形成・発展過程と交流の実態を解明することを目的としており、最終年度には、１年目の史料調査と２・３年目の現地における考古資料の調査成果を総合的に検討した。既往研究で指摘されてきた歴史的な変遷や交流関係を考古遺物から実証できたほか、史料研究では限界のある先史時代からの一連のつながりも考古資料の分析によって明らかにすることが可能となった。
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