2023 Fiscal Year Annual Research Report
オランダ植民地期末期のインドネシアにおけるイスラーム運動とマス・マンスール
Project/Area Number |
21K20053
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土佐林 慶太 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (10905764)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | インドネシア / マンスール / ムハマディヤ / イスラームとナショナリズム / 連帯 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オランダ植民地期末期のインドネシア(1942年までは蘭領東インド)におけるイスラーム運動、特にムスリムによる大同団結運動に着目し、その活動や思想形成が独立後のインドネシア社会にいかなる影響を与えたのかを考察するものである。 今年度は、本課題を検討するために、エジプト・オランダ調査を実施した。エジプトでは、マス・マンスールのエジプト留学と関連する土地や文献を調査し、インドネシア帰国後に彼が執筆した論考の背景を探った。また、オランダでは、ハーグにある国立公文書館、ライデンにあるライデン大学附属図書館において、関連資料、及び文献の収集を行った。具体的には、前者の文書館にて、1910年代から1940年代に、インドネシアからオランダ本国に送られたメイルラポルト (Mailrapport)、または複数のメイルラポルトからなるフェルバール (Verbal)等の植民地文書、後者の図書館にて、Rudolf Aernoud Kernのコレクション群を中心に、マンスールやサレカット・イスラームに関連する資料を調査した。 以上の調査を通して、1920年代から1940年代にかけてマンスールが中心的な役割を担ったインドネシア・ムスリムの連帯を目指す活動や、そうした活動の背景にある彼の思想や人的交流が明らかになった。研究成果の一部として、公益財団法人東洋文庫インド・東南アジア研究部門、東南アジア研究班研究会において、「インドネシアにおける植民地期末期のムスリム団結運動:マス・マンスールとインドネシア・ムスリムの連携」、インドネシア懇話会第4回研究大会において、「マス・マンスール(K. H. Mas Mansoer)の初期活動に関する研究」という題目で研究発表を行った。今後は、これらの資料の分析をより詳細に行い、本テーマについての学術論文の投稿を目指している。
|