2021 Fiscal Year Research-status Report
ポータブル蛍光X線分析装置を用いた判別図法による黒曜石産地推定
Project/Area Number |
21K20055
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
竹原 弘展 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30912109)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 黒曜石 / 産地推定 / 蛍光X線分析 / ポータブル型蛍光X線分析装置 / 非破壊分析 / オンサイト分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来卓上型エネルギー分散型蛍光X線分析装置で行われてきた遺跡出土黒曜石製石器の産地推定について、従来法に近い精度でのポータブル型エネルギー分散型蛍光X線分析装置による適用を目的としている。これまで筆者が使用している黒曜石原石をポータブル型蛍光X線分析装置で測定し、ポータブル型蛍光X線分析装置による黒曜石産地推定法を確立する。方法の確立により、発掘調査現場や遺物収蔵庫といったその場での測定が可能となり、測定点数の飛躍的増加や、従来持ち出しが困難であった遺物の測定を見込める。 今年度は、主に東日本の黒曜石原石を中心にポータブル型蛍光X線分析装置で測定し、得られた蛍光X線スペクトルよりカリウム、マンガン、鉄、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム等の蛍光X線強度を取り出し、各元素を組み合わせた強度比を算出して、黒曜石の産地推定に用いる判別図の作成を行った。その結果、従来の卓上型蛍光X線分析装置による測定で得られる判別図とおおむね遜色がない図を得ることができている。 今後は引き続き、黒曜石原石およびその測定データの拡充と、ポータブル型蛍光X線分析装置での測定作業の効率化、特にデータ抽出の効率化を図るとともに、卓上型蛍光X線分析装置とポータブル型蛍光X線分析装置で得られた判別図の比較、検証を行う。ポータブル型蛍光X線分析装置を使用した判別図法による黒曜石製石器の産地推定法を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポータブル型蛍光X線分析装置による黒曜石原石の測定の結果、従来の卓上型蛍光X線分析装置での測定値で作成した判別図と比較しても、おおむね遜色ない図が作成可能と判断された。 しかし、測定自体は短時間で完了できるものの、現状ではデータ抽出の作業効率が若干悪く、従来の卓上型蛍光X線分析装置による測定よりも効率がやや劣る。データ抽出方法の改良が必要であり、目下検討、検証中である。 また、一部不足している地域の原石採集を実施する予定であったが、所属組織での業務量の増加、新型コロナウィルスによる行動制約の影響などもあり、今年度は実施できなかった。全体的に進行はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
黒曜石原石の測定を進め、ポータブル型蛍光X線分析装置を使用した判別図法による黒曜石産地推定を確立する。同時に、課題である測定データ抽出法の改良を行い、測定の効率化を図る。 また、一部不足している地域の黒曜石原石の採集を行う。採集した原石は、整理し、試料調整を行って順次蛍光X線分析を実施し、判別図法への適用を検証する。
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Causes of Carryover |
一部不足している地域の原石採集を実施する予定であったが、所属組織での業務量の増加、新型コロナウィルスによる行動制約の影響などもあり、今年度は実施できなかった。2022年度に実施する予定である。
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