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2021 Fiscal Year Research-status Report

平安京・大和国における瓦生産・流通構造―9~12世紀を中心に―

Research Project

Project/Area Number 21K20062
Research InstitutionNara National Research Institute for Cultural Properties

Principal Investigator

田中 龍一  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (80910124)

Project Period (FY) 2021-08-30 – 2023-03-31
Keywords平安時代 / 平安京 / 大和国 / 古代寺院 / 瓦 / 製作技術 / 生産体制 / 三次元計測
Outline of Annual Research Achievements

採択初年度は、飛鳥地域における平安時代の瓦生産・流通の実態を把握することに努めた。検討対象は、川原寺出土の平安時代に属する軒瓦(以下、川原寺出土軒瓦)である。当該資料は、正報告から半世紀以上経っているため、瓦当文様・製作技術の基礎的な検討から開始した。主な研究の方法は、①肉眼観察による製作痕跡・道具痕跡の確認と、②三次元モデルでのデータの記録である。検討の結果、以下の点が明らかとなった。
(1)笵を彫り直して継続使用:従来の型式を再検討し、別個の型式とされた製品間で、同じ文様木型(笵)による施文が確認できた。また笵を彫り直して文様を一部改変し、使用を続ける状況を、三次元モデルの検討を通して確認することができた。
(2)飛鳥地域とその周辺で限定的に流通:川原寺出土軒瓦と同笵同文関係にある軒瓦が出土している遺跡を確認した。川原寺で多数出土する型式は、飛鳥地域を中心に同笵例が認められた。ただし、出土量・型式数ともに川原寺が突出した存在である。
(3)複数系統の製作技術:川原寺出土軒瓦の製作痕跡の観察を通して、製作工程と造瓦道具の復元を試みた。従来から指摘されてきたものとして、布の上から手で押さえて凸面を成形する東大寺系の製作技術(凸面押圧技法)によるものがある。しかし、多数を占めるのは凸面全面を縄叩きで仕上げる独自の製作技術によるものだと判明した。一方、独自の技術によるものにも、東大寺系のものと共通する特殊な成形台の使用が認められた。この点については、両者の年代観を含め今後の検討課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は、所属機関が保管する資料を主な検討対象としたため、順調に研究を遂行することができた。川原寺出土の平安期軒平瓦については、各型式の代表的な個体を三次元計測することができた。なお、当該資料の検討成果については、現在論文化を進めているところである。

Strategy for Future Research Activity

今後も川原寺出土軒瓦と関連瓦の検討を継続し、各型式の年代観の再検討をおこなったうえで、飛鳥地域における瓦生産の様相の把握に努める。また、研究の過程で新たな類例も確認したため、外部での資料調査を追加でおこない、笵や製作技術の異同を検討する予定である。
そのうえで、平安京・南都七大寺との比較検討をおこなう。本研究以前より着手していた平安京の瓦についても、平安京外への流通例について補足的に資料調査をおこなう。南都七大寺の瓦については、技術系統と生産・流通体制という視点から先行研究を再検討する。
以上の作業をもとに、飛鳥地域と南都七大寺、平安京の各事例を明らかにし、平安時代における大和と平安京の瓦生産・流通構造の特質を把握する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由については、昨年度所属していた藤原地区で三次元計測関連の設備が整えられ、一部の物品を購入する必要がなくなったためである。
使用計画については、新たに確認した川原寺出土軒瓦の類例の資料調査を追加でおこなう必要性が生じたため、これに充てるほか、刊行予定の研究成果報告書の経費に充てる予定である。

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Published: 2022-12-28  

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