2022 Fiscal Year Annual Research Report
Freedom of Expression on the Internet
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21K20082
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田中 美里 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 講師 (30906897)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 表現の自由 / 営業の自由 / 私人間効力 / フェイクニュース |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2021年度に引き続き、インターネット上の表現の自由についての検討を進めた。とくに2021年度に得た知見を論文等の形でまとめ、公表した。この研究成果においては、フランスにおけるインターネット上の表現規制が、「故意に、人為的にまたは自動化された方法で、大規模に」拡散されたものに限定されるという点で、射程が非常に限定されたものであることを強調し、かつ、このような表現規制がなされた背景には、インターネット上で流布されているフェイクニュース等が、金銭によって買収された表現行為であるとの認識があることを述べた。 また、今年度は、SNS事業者などの企業の営業の自由に対する政府の介入をいかに正当化できるかについて、哲学的な基礎を与える試みも行った。今日に社会において高度に発展した情報技術は、あまりに専門的・技術的なものであるがゆえに、一般の市民が、そのような技術が関わる議論について、どれくらい直接的な関わりをもつべきかは、従来非常に困難な問題であるとされてきた。これについて、報告者は、民主的な代表制を、インフォームドコンセントの概念との類似性を通して検討した。仮に、民主主義の重要性が、市民が全ての議論に含まれる全ての論点や情報を網羅的に理解していないとしても、私たちの権利や義務に関する議論を預けるに値する代表者を選ぶということにあるのだとすれば、情報技術の高度さ、専門性は、それに対して民主的な統制を及ぼす際に、必ずしも障壁になるとは限らないこととなる。この二点目については、すでに、Web上の記事の形でまとめて公表しており、2023年度中に書籍化されて公表される予定である。
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Research Products
(4 results)