2022 Fiscal Year Annual Research Report
条例制定権と地方自治の憲法上の保障に関する比較法研究
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21K20084
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
川端 倖司 成城大学, 法学部, 専任講師 (60910841)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 地方自治 / 条例 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、自治権の保障方法について調査・検討を行った。 日本の地方自治の憲法上の保障は、その多くはドイツ法に由来する制度的保障を前提として、自治権が主観的権利であることを否定し、客観的制度としての自治権を想定することが多かった。しかし、近年のドイツでは、ゲマインデの主観的権利(法的地位)が保障されることが認められているため、少なくとも地方自治における制度的保障論は「自治権は基本権ではない」という点を示すに過ぎない。①自治権が主観的権利であるとする見解は、地方自治制度そのものの保障という観点の説明が難しくなるのに対し、③従来の制度的保障論のように、自治権をすべて客観法として、主観的な要素を全く認めないということもできない。そうすると、憲法によって保障される自治権の中には、②客観的な法制度と主観的な法的地位が混在すると考えられる。そこで、これらを従来とは異なる見地から整理し直そうとする見解として「法原理」アプローチが見られた。こうした「法原理」アプローチは、地方自治の憲法上の保障に法原理としての側面とルールとしての側面の両方があるとしたうえで、両者を法律による内容形成を要するかによって区別する。両者の区別は必ずしも明らかではないが、仮に地方自治の保障が法原理として位置づけられる場合には、自治権保障を立法者に対する衡量義務として捉えなおすことになる(なお、近年のスイス法においても、こうした「衡量義務」として自治権保障をとらえる見解が見られた)。 研究期間全体として、地方自治における「自治」を、住民が地方公共団体の意思決定に参加する「参加としての自治」として理解した上で、自治権の保障を立法者に対する衡量義務として再構成し、条例論においては条例制定権を拡大する方向で法律制定・解釈を行う可能性も考えられ、こうした考え方は日本においても参照に値すると考えられる。
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Research Products
(3 results)