2022 Fiscal Year Research-status Report
裁判官における経験則の獲得選択過程ー会社訴訟を手掛かりにして
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21K20089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高原 知明 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (80909309)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 裁判官 / 経験則 / 会社訴訟 / 専門的知見 / 専門値 / 暗黙知 / 訴訟記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の初年度後半・2年目であった。研究素材の収集については、東京地方裁判所に保管中の訴訟記録のうち会社訴訟に関するものの2年分を網羅的に調査、収集及び分析するという基本方針に基づき、前年度に引き続き、訴訟記録原本の閲覧を通じた調査、収集作業を続ける予定であった。新型コロナウイルス感染症第7波の時期が出張予定時期と重なり、令和4年10月に庁舎移転に伴って調査対象の保管場所が変更することが予定されていたことから、素材調査、収集作業を一時中断して、本研究課題の周辺にあるテーマに関する研究を先行させ、民間法律雑誌や所属学会支部において公表・報告した。 上記のような中で、本年度も、第92回日本民事訴訟法学会大会で開催されたシンポジウム「裁判官による専門知識の収集と利用」を含む「民事裁判官の権限行使をめぐる規律のありかた」と題するシンポジウムの準備作業に引き続き参加し、議論に参加し、大会当日には参加者からの多様な意見に接した。また、本年度は、所属校において、医事関係訴訟をテーマとする演習を法学部で開講し、医療訴訟の経験豊富な弁護士や鑑定経験等のある勤務校所属医師の参画を得て、裁判官の面前には現れず、訴訟記録に残ることはない経験則等を法廷の外で獲得し、吸収し、訴訟の審理や判断に活用していく過程を多角的に明らかにすることに努めた。 なお、前年度に開始した本研究準備作業から派生した研究成果を勤務校紀要で公表する作業を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、研究課題の遂行に必要な資料収集を行った。特に、本件に関連するテーマが取り上げられた日本民事訴訟法学会大会シンポジウムの準備研究会に裁判実務研究者として参画するほか、大会当日も研究者や実務家の意見を吸収することに努めた。 もっとも、訴訟記録の閲覧を通じた情報収集作業が新型コロナウイルス感染症第7波の影響で事実上難しくなった上、令和5年10月に素材収集先の庁舎移転が予定されていたことから、今年度後半は、本研究課題に関連する課題の研究を先行させたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の第一四半期に、東京地方裁判所中目黒庁舎における研究素材となるべき訴訟記録(判決書写しを含む。)の収集作業を集中的に行い、残りの期間を使って、研究開始時に想定していた研究計画にできる限り近い形で研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度第2四半期以降に本研究課題に直接関連する作業を一時中断したことに伴い、使用予定であった費用のかなりの部分の支出を見送ったため。それらは、次年度に当初予定に沿って使用する見込みである。
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