2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K20092
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本庄 萌 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (30908570)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動物福祉 / 法政策 / 畜産動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、EUとアメリカにおける畜産動物福祉法の比較を行い、日本法への示唆を得ることを目的とする。初年度である本年度は、主に以下の3点につき研究を行った。 第1に、欧米比較の前に日本法に有益な示唆を得るため、まず国内で入手可能な文献・資料を収集し、畜産動物福祉法に関する国内の研究を概観した。その結果、動物行動学や経済学分野の研究者による欧米の動向の紹介は散見されたが、運用面の検討は不十分であることが改めて確認された。今後も学際的取組みや研究について目を配りつつ、運用面にまで視野をひろげた法学研究を深める必要がある。 第2に、人と動物の関係横断的研究を進め、その中に畜産動物福祉政策を位置付けた。日本の動物保護政策において議論の中心となってこなかった動物としては、畜産動物以外にも、動物園動物と実験動物がある。それらの動物に関する動物福祉向上の試みと、畜産動物保護の現状を比較検討した。その結果を、研究会等で2回報告し、英語論文としてまとめた(掲載決定、投稿済)。 第3に、EUにおける畜産動物福祉法の調査を進めた。具体的には、採卵鶏保護関連の指令と欧州イニシアチブの検討を行っている。従来のEU採卵鶏保護指令は改善型ケージの規定をしてきたのに対し、ケージ自体を疑問視する欧州市民イニチアチブが提起された。そこで、欧州市民イニシアチブ制度の近年の展開についてのまとめ(公表済)をもとに、当該イニシアチブに対する欧州委員会による返答の分析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献収集・情報収集、日本における動物保護法の現状をまとめた英語論文の投稿、EU指令における畜産動物福祉規定の分析について、当初の計画通り分析を進めることができた。加えて、EUの最新の動向(欧州イニシアチブ)の検討に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
畜産動物福祉法に関する国内の先行研究が不足している状況に鑑みて、最新の畜産動物福祉法の検討をするにあたり、その沿革を確認する重要性が初年度の研究を通して明らかになった。そこで、当初の計画にはなかったものであるが、来年度前半にイギリスへの出張を企画し、欧米における畜産動物福祉政策の原型をつくったイギリスの取組みについて現地調査を行うことを計画している。そのうえで、EUとアメリカにおける制度概要と運用状況を分析し、来年度の後半には、それらの研究結果をまとめ、学会報告、論文執筆を目指す。
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Causes of Carryover |
未使用の研究費が生じたのは、予定していたアメリカ出張を延期したためである。3月末に予定されていたボストンでのワークショップがをコロナ感染ウイルスを理由に延期となり、来年度の秋開催が予定されている。しかしそれも延期になることも予想されるため、来年度はイギリス出張を予定しており、そちらに出張費を計上する予定である。
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Research Products
(2 results)