2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K20092
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
本庄 萌 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (30908570)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 動物福祉 / 法政策 / 畜産動物 / 動物法 / 欧米比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、畜産動物福祉法の沿革、発展経緯、運用状況を検討した。 第1に、イギリスにおける現地調査を行い、動物福祉学会への参加や動物福祉科学者へのヒアリングを行い、動物福祉概念について検討した。最新の畜産動物福祉法の検討をするにあたり、その沿革を確認する重要性が初年度の研究を通して明らかになった。そこで、6月にイギリスに出張をし、欧米における畜産動物福祉政策の原型をつくったイギリスの取組みについて現地調査を行った。その結果、「動物福祉」概念の発展経緯とその多義性ゆえの課題(表示制度の確立の難しさなど)が明らかになった。 第2に、EUにおける動物福祉法の展開を検討し、研究成果の報告後、その一部の活字化を行った。畜産動物福祉法制度の概要と運用状況を分析し、日本倫理学会ワークショップにおいて報告した。加えて、最新の欧州イニシアチブ情報をまとめた(公表済)。 第3に、10月から11月にかけてアメリカ(ボストンおよびポートランド)を訪問し、アメリカにおける畜産動物福祉法の調査を行った。ボストンでは、非欧米圏の動物法学者を中心とするワークショップに参加し、「動物福祉」概念とは異なる動物保護法の形について議論した。「動物愛護」概念に基づく日本の動物法について英語論文に取りまとめ、原稿について他国の動物法学者から有益な示唆を得た(英文書に掲載決定済)。ポートランドでは動物法学会への参加およびアメリカの動物法学者へのヒアリングを行い、アメリカにおける動物保護法の最新の議論展開を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EU法については、沿革から運用状況まで網羅的な検討を行うことができた。しかしながら、アメリカ法については新型コロナウイルスの影響で当初予定していたヒアリング、現地調査をすべて行うことができなかったため、オンライン化などの再検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
EU畜産動物福祉法に関する研究成果をもとに論文投稿する。また、EU畜産動物福祉法における動物福祉の定義の不存在が運用面の課題を生んでいる可能性が示唆されたため、動物福祉概念の法制度上の定義や特徴を明らかにし、畜産動物保護法を動物福祉法に位置付けることを目指す。アメリカの畜産動物福祉法の議論展開についても、検討をさらに進める。
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Causes of Carryover |
本研究の目的をより精緻に達成する研究を実施するためである。2023年度には、これまでの研究結果をとりまとめて学会報告と論文投稿をすることを予定している。
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Research Products
(4 results)