2022 Fiscal Year Annual Research Report
Role of Domestic Courts in the ICSID Award Enforcement System
Project/Area Number |
21K20094
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田村 侑也 中央大学, 法学部, 助教 (70908037)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | ICSID仲裁判断 / 国際投資仲裁 / 仲裁判断の承認・執行 / 主権免除 / 投資家対国家の紛争解決(ISDS) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の下で、最終年度である2022年度は、以下の通り研究を行った。 第一に、外国国家を名宛人とする投資仲裁判断に基づく、当該国の国有企業の財産に対する強制執行の可能性について、「執行免除の範囲に関する抵触法的考察-投資仲裁判断に基づく国有企業の財産に対する強制執行」『国際私法年報』24号(2022年)118頁を発表した。自己に有利な投資仲裁判断を得た投資家が、その内容の強制的な実現のために、仲裁手続の直接の相手方であった投資受入国ではなく、その国有企業の財産に対する強制執行を試みることがある。そのような強制執行が日本法上認められるかについて、対外国民事裁判権法の下で国有企業が外国国家の一機関であるかを判断するアプローチと、私法上の法人格否認の法理を用いるアプローチとを提示し、特に後者の法人格否認については、それを判断する際の準拠法を併せて検討した。 第二に、本研究課題の総括的検討として、「国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約」(ICSID条約)に基づいて下されたICSID仲裁判断の承認・執行に関する、米国・英国・豪州の手続や裁判例を比較・検討し、現行のICSID仲裁判断執行システムの構造上の限界を特定する作業を進めた(そのうち、ICSID仲裁判断の承認・執行手続と執行地の主権免除法との適用関係に関する問題については、昨年度取り組んだ)。その上で、国連国際商取引法委員会の第三作業部会が進めている投資家対国家紛争解決(ISDS)の制度改革に関する議論状況を整理するとともに、投資仲裁における上訴機関や、多国間投資裁判所が設立された場合に、その判断がどのように承認・執行なされるのかについて、検討を進めた。今後、学会報告や論文執筆によって、研究成果を発表する予定である。
|
Research Products
(1 results)