2022 Fiscal Year Research-status Report
家族をめぐる自由とその限界――婚姻の契約法化の内実と養育の制度の行方
Project/Area Number |
21K20098
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松田 和樹 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (10906861)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 法哲学 / 政治哲学 / 家族法 / ジェンダー法学 / 婚姻 / 親子 / セクシュアリティ / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マーサ・ファインマンの議論を受けて婚姻法の契約法化の内実と養育の制度のあり方を考察してきた種々の論者の議論を、契約法の哲学と子どもの権利の哲学を用いて分析することで、来たるべき親族法の最良の構想を明らかにしようとするものである。 2022年度(二年次)は、婚姻の契約法化については、エリザベス・ブレイクの「最小婚姻」について検討した論文を刊行した。またこれに関連して、成人の親密関係と法政策に関して検討するために、キンバリー・ブラウンリーの最近著の書評を刊行した。これとともにクレア・チェンバーズの「婚姻なき国家」について検討するため、契約法の哲学に関する研究を進めた。さらに、生殖と養育責務の関係について検討するために、養育の哲学に関する研究を進め、特に養子縁組制度について検討する口頭発表を行った。 併せて、本研究が実定法学に対して持つ示唆について触れた論文を雑誌『法律時報』に掲載した。また、本研究が家族社会学に対して持つ示唆について触れた学会発表を、日本家族社会学会にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当初から、国際学会での研究報告を行い、フィードバックを得る予定していた。ところが、新型コロナウイルス感染拡大とこれに伴う国境管理の厳格化とを原因として、研究期間開始時以降、これが極めて困難な状況が続いた。そのため、研究期間を次年度(2023年度)に延長する必要が生じたため、研究の進捗状況がやや遅れることとなった。 2023年度には、7月12日から15日にアントワープ大学にて開催される18th World Conference (Golden Jubilee Conference) of the International Society of Family Lawにて、私が研究報告を行うことが決定しており、この遅れは早期に解決する目途が立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、博士論文の執筆を進める。特に養育に関する部分は、7月12日から15日にアントワープ大学にて開催される18th World Conference (Golden Jubilee Conference) of the International Society of Family Lawまでに完成させ、研究報告を行い、フィードバクを得る。その後、契約法の哲学の観点からクレア・チェンバーズの「婚姻なき国家」について検討する部分を仕上げ、9月末までに完成させる。 また、11月開催の日本法哲学会75周年記念大会にて研究報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請当初から、国際学会での研究報告を行い、フィードバックを得る予定していた。ところが、新型コロナウイルス感染拡大とこれに伴う国境管理の厳格化とを原因として、研究期間開始時以降、これが極めて困難な状況が続いた。そのため、研究期間を次年度(2023年度)に延長する必要が生じた。2023年度には、7月12日から15日にアントワープ大学にて開催される18th World Conference (Golden Jubilee Conference) of the International Society of Family Lawにて、私が研究報告を行うことが決定している。
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