2023 Fiscal Year Research-status Report
ミゲル・アバンスールの批判的政治哲学：デモクラシーの核心としての「批判」概念
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21K20115
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| Research Institution | Doshisha University |
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Principal Investigator |
和田 昌也 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30910088)
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| Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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| Keywords | ミゲル・アバンスール |
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| Outline of Annual Research Achievements |
２０２３年度の本研究課題の実績としては、主として次の口頭発表が挙げられる。
「批判の二つのモデルを超える道 ―ミゲル・アバンスールの視座から―」社会思想史学会第４８回大会自由論題報告（２０２３年１０月２９日)では、この数十年の間、批判をめぐる諸理論において彫琢されてきた二つの批判概念（ジョン・ロールズらの「外在的批判」とリチャード・ローティ、マイケル・ウォルツァーらの「内在的批判」）の理論的射程と限界を相互の比較検討を通じて明らかにし、いずれの批判概念もかかえる、社会的政治的諸条件の捉え返しという課題について、ミゲル・アバンスールがいかなる仕方で自らの批判概念を提起し、答えようとしているかを考察した。この点に関し、アバンスールの「批判」概念は内在的な政治的批判として位置づけられると、本研究は解釈し、その概念の形成過程を浮かび上がらせた。
「抗争・自治・蜂起―フランスのラディカルデモクラシーについて― 」日韓政治思想学会・共同学術会議（２０２３年１２月９日）では、近年着目されてきているフランスのラディカルデモクラシーの理論家として代表的なクロード・ルフォール、コルネリウス・カストリアディス、ミゲル・アバンスールの三者を取り上げ、彼らが１９７０年代以降、ともにデモクラシーの刷新を政治哲学の新しい課題として据えながらも、相互にいかなる点で論争を加え、それぞれのモデルへとラディカルデモクラシーの理論を分岐させていったかを辿った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は本来であれば二か年のものであったが、結果として一年の延長を行ったのは、上記のとおり、研究成果の発表の場を得たことに拠る。一年の延長にもかかわらず、当初の予定どおり、成果を挙げ、公表するに至っているという点に関して言えば、「おおむね順調に進展している」と評価することができると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策としては、現時点で行なった三つの口頭発表を順次論文へと仕上げ、投稿していくことで、最終的な成果の公表へとつなげていきたい。
まず、"Miguel Abensour's Concept of Critique as a Core of Democracy "International Conference "The Politics of Emancipation: Utopia, Insurgent Democracy and the Legacy of Miguel Abensour" at York Universityに関しては、２０２５年に公刊される予定となっており、また、「批判の二つのモデルを超える道 ―ミゲル・アバンスールの視座から― 」社会思想史学会第４８回大会自由論題報告に関しても、その質疑に際して頂戴した様々なご批判、コメントを受け、大幅に練り直し、投稿を予定している。「抗争・自治・蜂起―フランスのラディカルデモクラシーについて―」日韓政治思想学会・共同学術会議 に関しても、前二者の研究発表の延長線上に位置づけられるものであり、その一旦の仕上がりをまって、再度練り直し、さらに詳細に考察を展開して論文へと仕上げたい。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、初年度に行った国際学会での研究報告が、はれて公刊される運びとなり、その論文執筆に必要な経費を取っておく必要があったためである。
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