2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K20123
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
日野 将志 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (30906920)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 耐久財消費 / 財政政策 / 景気循環 / 消費税 / 駆け込み需要 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では家計に異質性があるライフサイクルモデルに耐久消費財、および耐久消費財購入に関して非可逆的な制約を追加したモデルを用いて、事前にアナウンスされた消費税に対して家計の消費支出がどのように反応するかシミュレーションを行った。このモデルを用いることにより、現実に観察される家計の消費支出のパターンを説明できることが可能となった。具体的に、家計が事前にアナウンスされた消費増税に対して、大きな駆け込み需要をするとともに、その後、家計の消費支出が数期間にわたって回復しないという実証的な事実をモデルを用いて説明した。
2021年度は上記の内容をまとめた単著論文”A Model of Anticipated Consumption Tax Changes”を、Computing in Economics and Finance, Asian Meetings of Econometric Society, European Summer Meetings of Econometric Society, ASSA 2022 Annual Meetingという4つの国際的カンファレンスにて発表を行った。また、早稲田大学、GRIPS、東北大学においてもセミナー報告を行った。これらで受け取ったフィードバックの吟味、論文への反映を2022年度において行っている。
また、消費増税に関して新たな論文を執筆している。消費税制度を考えると、日本の付加価値税制度とアメリカの売上税制度が異なる。この制度的な違いのために、消費増税が家計の消費支出に与える影響にも違いが出ることがシミュレーションによって分かった。これを新しい論文としてまとめる作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健康上の理由が最も大きい。もともと慢性的な腰痛をもっていたが、初夏から冬にかけてこの腰痛が劇的に悪化し、座っていることはおろか、立っていることも困難な時期があった。このため、仕事に大きな制限が生じ、大幅な遅れが生じた。
また、無限期間視野モデルのシミュレーションが想定より困難であり、この計算に想定外の時間がかかっている。そのため、様々な手法の習得・検証を行ったことも時間がかかる要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度のカンファレンス発表およびセミナー報告では、現在のモデルよりも単純なモデルでも本研究の重要な主張は維持されるのではないかと指摘が何度かあった。2021年度はこのための計算および結果をまとめる作業を行ったが,引き続き2022年度もこの作業を継続して行う。同様に日米の税制度の違いのために、消費税率の変更に対する家計の消費支出の反応が異なる点に関しても更なる分析を進め、公開可能な論文として完成させることが目標である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は大きく二つある。第一にコロナによる学会発表およびセミナー報告のオンライン化が大きい。計画書提出時点ではワクチン接種が進めばセミナー報告の対面化があるのではと期待されたが、オミクロン株等の影響によりすべての発表がオンラインとなった。 第二に、進捗状況が遅れている理由と同様、腰痛によるものが大きい。座っていることどころか立っていることもできない期間があったため、その期間は作業がほとんどできず、また座ることが出来るようになっても長時間の作業には困難があった。そのため、研究費が必要な作業も後ろ倒しになってしまった。 2022年度は、ラップトップの購入と数値計算用のソフトウェアの購入を予定している。また、リサーチアシスタントを雇用することで、研究を前進させることを計画している。
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Research Products
(7 results)