2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K20123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日野 将志 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (30906920)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Keywords | 耐久財消費 / 政策変更 / 財政政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はモデルと議論の精緻化を行った。モデルの精緻化に関しては次の二点を行った。第一に,年金制度に関してアメリカの年金制度は再分配機能を有しており、生涯年収が低い家計に手厚く、生涯年収が高い家計には上限を設けた年金制度が採用されている。このような再分配機能を有する年金制度をモデルに導入し、モデルの精緻化を行った。異質の家計モデルにおいて、現実的な再分配機能を有する社会保障制度をモデルに導入することは定量分析に影響しうるため、重要な頑健性の確認となる。第二に、本課題の研究について議論をした際に、高齢者が耐久財を購入するかどうかは高齢者の貯蓄動機がメカニズムに効いているため、高齢者の貯蓄動機を現状より正確にとらえるために遺産動機の導入の重要性を他の研究者から指摘された。そのため、ノン・ホモセティックな遺産動機を導入し、高齢者の貯蓄動機をもたせた。ノン・ホモセティックな関数を導入することで、資産水準の高い家計のみが遺産を残すという現実にデータで観察される遺産の性質を説明できる。さらに、モデルの中では遺産は流動性資産と耐久財の両方で可能なため、遺産の導入は耐久財購入にも大きな影響をしうる拡張である。これらのもとでモデルを再度カリブレートし、シミュレーションを行った。いずれの精緻化も、高齢者に関する所得と貯蓄行動に直接的に影響するものである。しかし,この二つのモデルの精緻化を行っても、主たる政策変更へのシミュレーション結果が頑健であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の頑健性の結果をドラフトに反映することが出来ていないため、早急に行う。また、結果を導いている原因について、エクステンシブ・マージンとインテンシブ・マージンの分解、および年齢別の分析を進め、これらもドラフトに早急に反映する。
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Causes of Carryover |
他の研究プロジェクトが新たに始まったことが影響した。また今年度の子供の出生に伴い、学会発表等の出張が難しくなったことも原因である。
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