2022 Fiscal Year Research-status Report
Police Decentralization and Criminal Organizations: Evidence from Post-WWII Occupied Japan
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21K20124
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
泉 佑太朗 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (60911500)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 警察 / 犯罪 / 犯罪組織 / 地方分権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後連合国軍占領期の日本で実施された警察制度改革を自然実験として用いることによって、警察制度の地方分権化が組織犯罪に与える影響を 実証的に明らかにすることである。 このために今年度は、(1)昨年度までに構築したデータセットの整備・拡張、(2)市町村レベルデータを用いたregression discontinuity designによる分析、そして(3)都道府県レベルデータを用いたdifference-in-differencesによる分析、の3つの軸で研究を進めた。 (1)に関しては、昨年度中に構築した市町村レベルのデータセットに、選挙などに関する新たな情報を追加した。これにより、より詳細な分析が可能となる。 (2)に関しては、本研究では、戦後の警察制度改革において地方分権的な警察組織が一定の人口基準を満たす市町村にのみ設置されたことに注目して、regression discontinuity designを用いた分析を進めている。この実証戦略が依拠する仮定の妥当性については昨年度中に検証済みであるため、今年度は警察制度の地方分権化が組織犯罪に与える影響の分析を進めた。現在は、得られた結果の頑健性の検証や追加的な分析を進めている。 (3)に関しては、都道府県レベルの犯罪パネルデータを用いて、警察制度の地方分権化が様々な種類の犯罪に与える影響をより広域的な視点から分析している。より具体的には、都道府県ごとに警察制度の地方分権化の程度が異なることを利用して、改革前後の犯罪の変化をdifference-in-differencesの手法を用いて分析している。改革からの経過年数によって影響が大きく変化するなど興味深い結果が得られており、現在は頑健性の検証や追加的な分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アシスタントを雇用して行う予定であった一部のデータ構築作業について、適任者の確保が困難であったことから、作業方針を変更し、一部を業者に依頼し、残りは全て自ら行うこととした。そのために、作業に遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに作業を進めることができず進捗に遅れが生じてしまったため、研究期間を延長していただいた。当初の予定からは遅れてはいるものの、着実に分析は進んでおり、来年度中には分析内容をまとめ論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していた通りにリサーチアシスタントの確保ができなかったため、また、それにより進捗に遅れが生じたため。繰越分は、学会発表のための旅費、追加資料の購入、論文校正、論文投稿などに充てる予定である。
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