2021 Fiscal Year Research-status Report
複数場面における従業員の沈黙および発言の切り替えに関する質的研究
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21K20125
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
辺見 英貴 長崎大学, 経済学部, 助教 (80914241)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 従業員の沈黙 / 従業員の発言 / 場面の切り替え行動 / 業務の効率性 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、従業員がマネジャーに対して、沈黙するか発言するかを場面によって切り替える行動のメカニズムを明らかにすることである。従業員の沈黙とは、従業員がマネジャーに対してアイデアや情報や意見の主張を控える行動である。一方で、従業員の発言はこれらを主張することである。本研究では、先行研究の理論的検討およびケース・スタディを通じて、従業員の沈黙や発言場面の切り替え行動が、職場における場面の特性や同僚との関わり合いによってどのような影響を受けるのかを明らかにする。 研究実施計画に即して、2021年度は論文検索ツールを用いて最新の研究を中心に従業員の沈黙および発言に関する先行研究のレビューを行った。加えて、先行研究では沈黙行動と発言行動に関する研究が並行しており、発言研究の方が文献数が多い傾向にある。そこで、まずは発言行動に関する研究に着目した。特に、従業員の発言場所に関する先行研究をレビューし、本研究の基盤となる理論を探索した。 さらに、本研究の成果として、人材育成学会にて「コンピュータ媒介型コミュニケーションが従業員の沈黙および発言に与える影響の質的研究」という標題で学会発表を行った。コンピュータ媒介型コミュニケーション (CMC)とは、オンライン会議やEメールのようなコミュニケーション手段が含まれる。本発表では、発言場所の1つであるCMCが従業員の沈黙や発言に及ぼす影響を明らかにした。 本研究は学術的・実践的な意義がある。まず、本研究の学術的独自性は、従業員の沈黙と発言の切り替え行動のメカニズムを明らかにできる点である。さらに、本研究は他の利他的な組織行動への応用可能性がある。一方、本研究の実践的意義はイノベーションと業務の効率性のジレンマを解消する足がかりになることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりも教育活動にエフォートが割かれている状況であるため、理論研究の進捗がやや遅れている。また、調査に先駆けて、調査対象の選定にも時間を要する可能性があることも研究の進捗における懸念事項である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、「研究実績の概要」にも記載の通り、引き続き発言場面の特性に関する研究の理論的検討を実施していく。また、組織市民行動やプロアクティブ行動といった他の組織行動の研究のレビューを実施し、援用可能性を検討する。加えて、調査対象に応じて、従業員の沈黙や発言のコンテクストにまつわる先行研究レビューが必要である。例えば、中小企業の特性に関する先行研究のレビューが挙げられる。 さらに、質的調査の実施に向けて、調査先の検討を理論的検討と並行して行う。調査対象者は企業における従業員とマネジャーであり、調査方法は半構造化インタビューを予定している。2022年5月より、県外企業の従業員を対象としたパイロット調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は2022年度までの期間があるため、若干の残額を次年度使用額として繰り越すこととした。2022年度の助成金は主に物品費および旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)