2022 Fiscal Year Annual Research Report
Does Tokyo and Saitama Emission Trading Scheme Induce Technological Innovation: Evidence from Japanese firms
Project/Area Number |
21K20134
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
呂 冠宇 早稲田大学, 総合研究機構, 研究助手 (10901035)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | Emissions trading scheme / Japan / Innovation / Carbon leakage / Outsourcing activity / DiD method |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、埼玉県排出量取引制度が企業のイノベーションの促進にインセンティブを与えるかどうか、および企業の外注を及ぼすかを定量的に明らかにすることを目的とする。排出量取引制度の対象となる企業と対象とならない企業の因果関係を分析することによって、排出量取引制度がイノベーションの促進及び外注への影響を実証した。分析結果、排出量取引制度が第一計画期間において、企業のイノベーションを促進したことを明らかにした。さらに、この促進が制度実施前に、イノベーションした経験のある企業の原因だと分かった。なお、排出量取引制度が企業の外注活動を引き起こさないことが分かった。しかし、技術革新を積極的に行われていない企業に対して、自らの生産プロセスを他企業に外注する傾向があることを示した。この結果は、排出量取引制度がイノベーション促進にインセンティブを与えたことを実証した一方で、一部の企業が外注によるカーボンリーケージを及ぼす可能性があることを示唆する。 本研究は、排出量取引制度に着目する最初の企業を対象とする実証論文として、環境政策が企業の活動にどのような影響を明確に明らかにしている。さらに、分析結果に基づき、長期的な削減を実現する柱となる技術革新をどのように促進するかを述べた。なお、財政状況が比較的に厳しい中小企業がどのように技術革新を実現するかについて、政策提言を行っていた。 本研究は、Congress of the Asian Association of Environmental and Resource Economics(2022年8月)、環境科学会(2022年9月)、環境経済・政策学会(2022年10月)、環境経済・政策学会ワークショップ(2022年12月)、および各ワークショップにて研究報告した。 最後に、本研究は、早稲田大学のWINPECワーキングペーパーとして公開されている。
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