2021 Fiscal Year Research-status Report
スパースモデリングの応用による計量経済学的な生産性ホットスポット検出手法の開発
Project/Area Number |
21K20139
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
塚本 高浩 中京大学, 経済学部, 講師 (90906223)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 空間計量経済学 / スパースモデリング / 確率フロンティアモデル / 生産性/効率性分析 / ホットスポット / クロスセクションデータ / 1段階推定 / LASSO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生産性のホットスポットとなっている地域を明らかにできる計量経済学的な統計モデルを開発するものである.空間計量経済学の知見を取り入れた生産性/効率性の分析手法である空間確率フロンティアモデルは,空間相関のような大域的な空間的相互依存関係を描写できても,生産性のホットスポットといった局所的な空間における現象を捉えることは困難である.そこで,パラメトリックな計量経済学的な生産性/効率性の分析手法である「確率フロンティアモデル」に,画像処理の分野等で使われている「スパースモデリング」の知見を応用することにより,生産性のホットスポットを検出できる新たな統計モデルを開発する. 生産性のホットスポットを検出するためには,既存の計量経済学的な生産性分析手法を用いて各生産者における生産性スコアを計算し,空間スキャン統計量といった既存のホットスポット検出手法を用いて先に求めた生産性スコアのホットスポットを検出するという方法が考えられる.しかしながら,このような2段階推定手法は統計学的な問題を生じさせる.2段階目でホットスポットの存在を検証しているものの,生産性の推定である1段階目にホットスポットの存在を考慮していないからである.このことは1段階目で推定されたそもそもの生産性スコアにバイアスが含まれる可能性があることを意味し,問題である.そこで本研究では,生産性の推定と同時に生産性のホットスポットを検出できる1段階推定手法を開発する. なお,本研究で提案する統計モデルは,クロスセクションデータでホットスポットを検出できるものである.パネルデータを必ずしも必要としないため,データの取得可能性の面だけでなく,生産性ホットスポットの経時変化を分析することが可能になる利点も有する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関連する先行研究のレビューはおおよそ終了している.さらに,本研究で提案する統計モデル自体の開発は終了している.
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Strategy for Future Research Activity |
提案モデルを推定するための計算アルゴリズムには改良すべき点が残っているため,今後開発を行う予定である.その後,モンテカルロシミュレーションを行うことで提案モデルの挙動を確認した上で,我が国の実データへの適用を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定より,英文校正1つを翌年度に実施することにしたことに依るものである.繰り越した次年度使用額は,翌年度に英文校正費として使用する.
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