2021 Fiscal Year Research-status Report
Growing Sharing Economy: Analysis of Factors Affecting Choice Between Ownership and Sharing
Project/Area Number |
21K20171
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
三浦 玉緒 流通科学大学, 商学部, 講師 (80907402)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | シェアリングエコノミー / シェアリング / サブスクリプションサービス / 消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、消費者行動の観点から、シェアリングを含めたさまざまな消費モードで検討される選択肢の間の代替関係を生む要因と、シェアリングサービス(SS)の継続利用につながる要因について解明することである。本研究によって、企業がマーケティング戦略としてシェアリングエコノミーの進展に対応する手立てが明らかになることが期待される。 SSの代表的な事例の1つとなるアパレルのサブスクリプションサービス(ASS)は、有体財(所有権が移転する形のある財)と有体財利用権(所有権が移転しない形のある財)の間の代替関係、つまり所有か非所有かという製品カテゴリーを超えた選択肢を発生させている。これの発生を規定する要因について、消費者行動の観点から仮説を設定することを目的に、ASSの利用者、あるいは利用経験者を対象にしたグループインタビューを実施した。 インタビュー調査結果を分析することにより、消費モードの変化を規定する要因を分類し、消費者特性との関係を確認した。ASSの選択を規定する要因として、代替の他に、補完、バラエティー、自己決定という新たな分類軸を提案し、ASS利用者を4つのタイプに分類する。これらのタイプに属する消費者属性を理解することは、ASS企業のマーケティング戦略の一助になることが期待される。 一方、有体財と有体財利用権の間の代替関係を生む要因として、保有費用、利用状況の不確実性、財の利用回数(山本 1987)に関わる発言や、継続利用を規定する要因として、匂いや汚れといった品質に関わる発言も確認した。先行研究で提案されているこれらの要因についても見落とすことはできない。 B2Cのサービス化における価値共創と顧客行動意図との因果関係モデル(三浦 2021)は、カーシェアリングサービスの利用経験者を対象にしたサーベイ調査の分析結果として提案しており、本研究におけるSSの選択と継続利用を規定する要因の分析にも役立てたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画(以下①~③)に対し、①に基づいたインタビューフローの作成、および、②のグループインタビューの実施において、想定以上の時間を要し、本年度は、①と②の実施に留まった。 ②においては、具体的には、調査会社の選定、対象となるモニターからインタビュー協力者の選出、グループインタビューの日程調整、インタビューフローの調整等のプロセスを経てグループインタビューを実施した。アパレルのサブスクリプションサービスの利用者、あるいは利用経験者(各グループ3人、4グループ、計12人)、および、カーシェアリングサービスの利用者、あるいは、利用経験者(各グループ4人、4グループ、計16人)となる合計28人に対し半構造化インタビューを実施した。発言は全てワードファイルに記録され、分析に使用した。 ①シェアリングエコノミーに関する先行研究のレビュー(2021年4~8月の予定)。 ②シェアリングエコノミーのB2Cの代表的な事例を選択し、サービスの利用者を対象にしたグループインタビューを実施する。ここでは、さまざまな消費モードを含む代替案の選択要因と、商品・サービスの価値を高める要因について仮説を設定する。具体的には、財の代替性の理論と、顧客価値の諸概念に基づき、半構造化インタビューを実施することにより、代替案との比較でなぜそのサービスを選択したのか、なぜ継続利用するのかついての理由を特定する。実施時期は、2021年9~12月の予定。 ③当該サービスの利用者を対象にしたサーベイ調査を実施する。具体的には、スクリーニング調査により約300人のサービス利用者を抽出し、②で仮定した要因について、アンケート調査を実施する。実施時期は、2022年1~3月の予定。
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Strategy for Future Research Activity |
①アパレルのサブスクリプションサービスの利用者、あるいは、利用経験者を対象にしたインタビュー調査の結果として、消費モードの変化を規定する要因の類型化の提案について、学会において報告する。これと、既に実施済みのカーシェアリングサービスの利用者、あるいは、利用経験者を対象にしたインタビュー調査結果を分析比較し、検証する。シェアリングサービスの選択と継続利用を規定する要因について仮説を設定したい(モデル化)。実施時期は、2022年4~7月の予定。 ②①の仮説を検証するために、当該サービスの利用者を対象にしたサーベイ調査を実施する。具体的には、スクリーニング調査(モニター約3,000人で約20万円)により約300人のサービス利用者を抽出し、①で仮定した要因について、アンケート調査を実施する(@2千円x300人=60万円)。実施時期は、2022年8~9月の予定。 ③②のアンケート調査結果を分析することにより、①で仮定した要因について統計分析ソフト(SPSS,AMOS)を使用し検証する。具体的には、代替案を検討する要因がサービスの選択に影響を与えるモデルへの適合度を検証する。また、継続利用につながるサービス品質、顧客満足の向上が、商品・サービスの価値を高める要因によって変化するかどうかについて構造方程式モデルを含めた統計分析により確認する。これらの分析により、シェアリングエコノミーの成長に影響する要因を一般化する手がかりとする。実施時期は、2022年9~12月の予定。 ④①~③について、論文を執筆し、学会で発表する。実施時期は2023年1~3月。 消費者がシェアリングサービスを選択し、継続する動機に影響を与える要因について一般化を試みたい。
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Research Products
(2 results)