2021 Fiscal Year Research-status Report
親子間の支援関係と社会的不平等・格差の連鎖に関する総合的研究
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21K20175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
俣野 美咲 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (00908345)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的不平等 / 格差 / 親子関係 / 世代間援助 / 成人期への移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個人のライフコースにおける社会的不平等・格差の連鎖メカニズムを、 3世代の親子関係に着目して明らかにすることにある。具体的には、子世代の格差・不平等に対し、親と子、祖父母と孫の間での支援の授受がいかなる影響を及ぼしているかを大規模縦断データの計量分析によって検討する。 2021年度は、第1の検討課題である親と子の支援関係が子世代の格差の連鎖に及ぼす影響についての分析をおこなった。分析に使用したデータは、東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクトによる「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」や「親子関係についての人生振り返り調査」のデータである。その結果、親からの経済的支援・非経済的支援は、子世代の離家・再同居、結婚、第1子出生といったライフイベント経験の経験確率に影響を及ぼすことが明らかになった。また、この研究成果の一部を第94回日本社会学会大会や各種研究会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分析に使用したデータのクリーニング、コーディング等の作業に、当初の計画よりも時間を要することになり、分析に取りかかるのが遅れたため、研究成果を論文として発表するまでには至らなかった。したがって、やや遅れていると判断した。この点については、来年度の研究計画に組み込むことで遅れを取り戻せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まずは第1の検討課題についての研究成果の発表を行う。それと並行して、第2の検討課題である祖父母と子の支援関係が子世代の格差の連鎖に及ぼす影響についての分析と、第3の検討課題である祖父母と親の支援関係が子世代の格差の連鎖に及ぼす影響についての分析を進める。分析に用いる予定のデータはすでにクリーニング等の作業が完了しており、すぐに分析にとりかかることが可能である。 研究成果については、国内外での各種学会・研究会にて報告を予定している。また、それらの学会等報告でのディスカッションをふまえて作成した論文を各種学術誌へ投稿し、研究成果の積極的な発信に努める。
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Causes of Carryover |
データクリーニング、コーディング作業の遅れにより、研究計画が後ろ倒しになったことで、英文校正等の成果発表にかかる費用に残金が発生した。次年度使用額については、当初の予定通り英文校正費用や成果発表のための旅費等に充てる予定である。
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