2021 Fiscal Year Research-status Report
DV児童虐待被害母子への効果的支援とは何か。母子生活支援施設入所からの検討
Project/Area Number |
21K20183
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡辺 恵 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (90909144)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 母子生活支援施設 / DV / 児童虐待 / 自治体職員 |
Outline of Annual Research Achievements |
DV及び児童虐待への対応件数が増加しても、母子生活支援施設利用につながらないのはなぜか、当該母子への支援に関わる自治体職員へのアンケート調査により、明らかにすることを目的に調査を行った。 A県内の自治体(児童相談所、DVセンター、市町村DV児童虐待子育て支援担当課等)に勤務する職員を対象とした。事前に調査への協力を依頼した上で、所属長宛てに人数分の調査票及び返信用封筒を送付し、対象となる職員に配布していただいた。調査期間は2022年2月1日から3月1日(29日間)までとした。対象となる自治体職員600名に対し、回答者数は269名だった。(回収率44.8%)DV/児童虐待被害母子への経験なしのもの、調査項目の半数以上に記述がないものを除き、217名を分析の対象とした。(有効回答率80.7%) 「母子生活支援施設の利用ニーズがあるとアセスメントされたケース」を経験した職員は59.4%、「入所したケース」を経験した職員は48.4%、「利用ニーズありとアセスメントしたが入所しなかったケース」を経験した職員は31.8%だった。ニーズがサービスに結びつかない状況が示唆された。入所しなかったケースの傾向として、「施設の所在地が母の希望に沿わなかった」と回答した職員は65.6%、「施設のルールが母の希望に沿わなかった」と回答した職員は73.1%であった。施設側の要件が入所のハードルと考えられた。「施設入所は実現が困難なため、母に情報提供できなかった」には、当てはまらないと回答した職員が87.7%であり、地方自治体の厳しい財政状況下でも、ニーズに応じた情報提供が行われていると考えられた。さらに、「当初は入所を希望しなかったが結果的に入所したケース」を経験した職員は、16.1%であり、アセスメントを踏まえた意思決定支援が行われていると考えられ、具体的なプロセスを明らかにする必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した調査を実施し、データの集計が完了した。学会発表及び論文執筆の準備も進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
母子生活支援施設は、児童福祉施設の中で唯一、措置によらず、母の申請を受けて契約によって入所する。施設利用は、母の意向によるものである。「当初は母子生活支援施設入所を希望しなかったが、結果的に入所したケース」が一定数存在することが明らかになった。なぜ母の意向は変化し、入所を決断したのか。母の意思決定に係る支援について自治体職員にインタビュー調査を行い、支援実態と母の意向に変化をもたらす要因を明らかにする。
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