2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative analysis on Internal differentiation among part-time workers and inequality of the labour market
Project/Area Number |
21K20200
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
佐野 和子 大阪商業大学, JGSS研究センター, 研究員 (70909960)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 職業変動 / 非正規雇用 / 高学歴女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の第2の課題である、非正規雇用者の内部分化に関する分析に取り組んだ。具体的には、(1)全国版社会調査JGSSの2021年データに新たに採用され、2022年データにも引き続き組み込まれた、<非正規雇用についた理由>の質問項目から得られた回答結果を集計、整備し、(2)2年度分のデータを合体させた上で、(3)初年度に行った就業構造基本調査の職業小コードの特性を表す変数をJGSS合体データに紐付け、(4)このデータを用いた一連の分析を行った。非正規雇用者の職業移動パターンを男女、出生コホートごとの擬似ライフコース分析により検討した結果、日本では、女性の職業移動パターンの中に、非正規雇用として再就職する明確なキャリア移動パターンが識別され、性別役割分業型のライフコースが近年でもなお存続している点を実証的に明らかにした。また、非正規雇用に就く理由について、男性では、社会的不平等の指標として注目される、不本意非正規雇用の割合が高いのに対し、女性、とりわけ既婚女性では、家計や子どもの教育費の補助のために非正規雇用を選択する傾向が高い点を確認した。女性の就業拡大の中にあって、正規雇用で職を継続する女性と、非正規雇用で再就職する女性との間の分化傾向が進んでいること、とりわけ、大学卒の女性において、職業上の地位の分化が顕著であり、高学歴女性が女性の正規雇用拡大を牽引したアメリカや北欧諸国の事例と比較することで、日本特有の女性の高学歴化と就業拡大の特徴を描き出すことができた。研究成果は、2022年7月のSASE、9月の日本教育社会学会、11月の社会学会、ならびに2023年3月のJGSS研究発表会において公表した。また、今年度は論文執筆にも注力した。3本の論文を投稿し、そのうち一本が掲載、審査継続中の論文が一本、再投稿予定の論文が1本ある。
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Research Products
(6 results)