2021 Fiscal Year Research-status Report
学修支援を目的とした学習過程の分析と学習成果予測モデル開発に関する研究
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21K20204
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
細川 慎二 秋田大学, 評価・IRセンター, 助教 (00901034)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 教学IR / Institutional Research / 教学マネジメント / 統計解析 / 機械学習 / 学修支援 / カリキュラム・マップ |
Outline of Annual Research Achievements |
カリキュラム・マップは,教育課程において授業科目とディプロマ・ポリシー(以下:DP)の達成度(身に着けた能力)を関連付けることで,学修成果(GPA,DPの達成度etc…)や学生の成長を可視化する手法として活用されている。しかし,学修成果や学生の成長には,入試成績や課外活動(アルバイト・サークル活動etc…)などの授業科目以外の要因も影響を与えていると考えられるが,これらがどのように影響しているかは明らかになっていない。 そこで本研究では,カリキュラム・マップや学業成績,課外活動の内容・時間などの教学データを統計解析することで,学修成果に対する影響度を明らかにすること,学生の成長に関係があると考えられる在学中の過ごし方を「成長過程」と定義し,成長過程をタイプ別に分類すること,更にこれらの検討を通して,個々の学生に沿った学修支援を実現するためのシステムを開発・提案することを目指している。
2021年度では,教学データ間の統計解析,成長過程をタイプ別に分類する検討を行った。教学データ間の統計解析では,学修成果,入試情報(入試成績,入試区分etc...),授業科目の成績間の関係を解析することで,大学入学共通テストと個別学力検査の配点比率の異なる入試方法が学修成果に影響する傾向を確認し,1件の学会発表に至った。 また,成長過程をタイプ別に分類する検討では,授業科目に関する自習時間,資格・就活に関する自習時間,図書館等の施設の利用時間,アルバイトの時間,サークル活動の時間,これらのデータを利用しクラスター分析を行った。その結果,成長過程を6タイプに分類することができ,学修成果や入試情報などに対する特徴を統計解析により確認した結果,DPの達成度や,入試区分,出身地(県内・県外),進路等の人数割合などに,各タイプの特徴が有意な差として示されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度では,教学データの収集から解析を実施し,成長過程をタイプ別に分類する検討までを計画していた。この計画通りに,異なる2学部の卒業生4年分の教学データを収集し,教学データ間の紐づけを行うことで,統計解析や成長過程をタイプ別に分類する検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度では,前年度の検討結果を基に,目的変数を学修成果,説明変数を学修成果への影響が確認された入試情報,成長過程,および授業科目の成績,カリキュラム・マップの4つとし,予測モデルを構築するために,複数の代表的な機械学習の手法(ニューラルネットワーク,決定木,ロジスティック回帰etc..)による数値実験や適合率,再現率などの性能評価を行い,個々の学生に沿った学修支援を実現するためのシステムの開発・提案を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度は,コロナ禍の影響で参加を予定していた学会などがすべてオンライン開催となり,旅費を1円も消化することができなかった。次年度では,コロナ禍の状況にもよるが,自身の研究を知ってもらい指摘を受け,研究内容をよりブラッシュアップしていくためにも,対面が可能な学会などには積極的に参加をしていく。
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