2022 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由者の将来を見据えたキャリア教育・職業教育に関する研究
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21K20228
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高野 陽介 横浜国立大学, ダイバーシティ戦略推進本部, 特任教員(講師) (80910158)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 肢体不自由 / キャリア教育 / 職業教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実際に就労している肢体不自由者に対しアンケート・インタビュー調査を実施し、就労の実態を把握するとともに、就学時にキャリア教育・職業教育を受けた経験が、現在の就労においてどのように活かされているかを明らかにすることを目的とした。 最終年度は、アンケート調査の回答者のうち、協力の了承が得られた10名にアンケート調査では十分に明らかにできなかった点についてより詳細に聞き取りを行った。インタビューはZoomで実施した。質問項目は、アンケート調査の回答をもとに設定した。分析は、まずインタビューの逐語録を作成し、意味内容により記述を切片化し、その内容を端的に示すラベル名をつける。ラベルの類似性により、カテゴリーを生成し、カテゴリー間の関係性を結果図に示し、肢体不自由者に対するキャリア教育・職業教育の改善点を考察した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果については、まず“将来”について考え、目標実現のために努力したり、生活・勉強することに関するキャリアプランニング能力に対する自己評価が低いことが明らかとなった。例えば、キャリアパスポートを活用して、小学校からの学びを将来に繋げていく取り組みが必要であると考えられる。また、肢体不自由者は、進路指導や就職活動の際には、他の肢体不自由者のロールモデルを参考にしたいと考えていたが、そのような機会が少ないことを示していた。加えて、就職や進学のためには、障害の種類や程度に応じて、福祉サービスの利用や制度の理解が必要になるが、そういった部分の学習機会も提供されていないことが明らかとなった。障害の特性や程度を考慮したキャリア教育・職業教育の実践が今後求められると考えられる。
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