2021 Fiscal Year Research-status Report
属性間統計差別を抑制したAI学生リスク予測モデルの検証及び開発
Project/Area Number |
21K20231
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳浦 猛 筑波大学, 教育推進部, 准教授 (90902289)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ラーニングアナリティクス / 統計差別 / 高等教育 / IR / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大学生の学びに関するリスクを人工知能(AI)で予測するモデルを、「統計差別」(Arrow, 1973) という観点から検証・開発することをその目的とする。現時点の実績として、本研究の基礎をなす研究の一つが海外論文に正式に受領されたことが挙げられる。その研究では、大学1年終了時のデータを用いれば、属性間の誤差は生まれないことを実証した。しかし、1年終了時では学生に対する介入時期としては遅くなるため、より早い時点で手に入るデータを用いてアウトカムを予測するモデルを構築する必要がある。しかしその代償として、モデル精度の低下、そして属性間の精度の差が出る可能性が指摘されており、その仮説の検証および精度の改善手法の開発を現在行っている。具体的には首都圏中規模私立大学の数千人の学生・教学IRデータを用いてアウトカム予測モデルを構築し、属性別に予測精度を比較し、特定の属性をもつ学生の予測誤差が顕著になるといった、AI による統計差別の有無を検証に現在取り組んでいる。 現時点ではデータ収集・クリーニングが完了し、データ分析を順調に進めている。現時点では2016-2020年度の入学生のデータを用いて、1年終了時のGPAを予測するモデル構築が完了した。そして精度の比較を属性間で行ったところ、男女の間で予測精度が大きく異なることが判明した一方で、その他の属性間ではその差を認めることはできなかった。今後はこれまでの知見を論文にまとめて発表し、また同時平行的に男女の予測精度の誤差を埋めるための手法の開発を行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点ではデータ収集・クリーニングが完了し、データ分析を順調に進めている。現時点では2016-2020年度の入学生のデータを用いて、1年終了時のGPAを予測するモデル構築が完了した。そして精度の比較を属性間で行ったところ、男女の間で予測精度が大きく異なることが判明した一方で、その他の属性間ではその差を認めることはできなかった。これは研究計画書に書かれた通りの進捗状況であり、ゆえに概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、ここまでの知見をまとめて海外論文として発表する。また今後の課題として、男女差の精度差をどのように埋めていくかに関する手法の開発が重要であり、それに関して研究を続けていく。具体的には、Learning Management System (LMS)から抽出された学習ログデータを用いていく。先月LMSデータの収集が完了し、データクリーニングも終了した。今から夏にかけてLMSのデータ分析を行い、予測精度を高めることになる変数の開発を行なっていく。この知見を年内にまとめ、夏から秋にかけて海外論文や学会への投稿を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
特になし
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