2022 Fiscal Year Annual Research Report
子どものエンパワメントを重視したシカゴ市民性教育の実態―当事者への調査を通して―
Project/Area Number |
21K20232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久保園 梓 筑波大学, 人間系, 特任研究員 (80909953)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 市民性教育 / 子どもの声 / エンパワメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴの市民性教育の実態を調査することで、日本の市民性教育にエンパワメントの視点を根付かせるための具体的な方途を提案することであった。この目的を達成するために、①現地での資料収集及び②シカゴで市民性教育実践に取り組む当事者へのインタビューを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により現地調査を実現することができなかった。 そのため、①資料収集に関しては、オンラインで可能な範囲での資料収集及びその分析に取り組んだ。また、シカゴ現地調査は実現できなかったが、隣国カナダのトロント大学教育研究所図書館にて資料収集の機会を得ることができたため、近年の北米の市民性教育の動向に関する資料収集に取り組んだ。②インタビューに関しては、シカゴ学区(Chicago Public Schools)市民性教育専門部署の「子どもの声(Student Voice)」に関するプロジェクトコーディネーターの移動などがあり、当初の予定よりもオンラインでのインタビュー人数が制限された。しかし、シカゴ市内の公立学校で社会科もしくは公民科を担当する教師へのインタビューを実施することができた。インタビューでは、コロナ禍で理想的な市民性教育の教育実践を展開することがより一層困難となったこと、児童生徒の心理的・精神的不安と向き合う難しさ等、市民性教育を実践する教師が直面している問題について具体的な文脈を踏まえながら聴くことができた。一方で、社会的課題を客観的に分析し解決に向けて行動する姿勢を貫く重要性を再認識する教師の語りも見られた。これらは、今後研究成果として発信する予定である。また、今回のインタビューでは、新型コロナウイルス感染症に関連する課題への対応に関する語りが中心となってしまわざるを得なかった。この点は今回の調査の課題であり、今後も継続的に調査を進める予定である。
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