2021 Fiscal Year Research-status Report
授業実践において教師が子どもの「声」を聴くことの研究
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21K20240
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植松 千喜 慶應義塾大学, 教職課程センター(三田), 助教 (00908676)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 生徒の声 / ペダゴジー / 授業 / 批判的教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究実施計画に示した、米国の小学校教師グレゴリー・ミッチー(Gregory Michie)の実践記録に着目した論文を執筆したほか、2022年度にかけて実施する予定であった「生徒の声」の研究レビューをいったん論文としてまとめ、発表することができた。 後者のレビューに関しては、当初の研究予定では、「生徒の声」研究を広く全般的にレビューすることに主眼を置いていた。しかしながら、実際に「生徒の声」研究の全容について調査を進めていくと、研究史上の経緯から、「生徒の声」研究と直接銘打たれている教育経営の文脈に位置づく研究以外にも、「生徒の声」研究の射程を広げることが可能であることを認識したことに加え、本研究課題のように、授業を始めとする教師によるペダゴジーにおいて「生徒の声」を捉えようとする研究が、そうしたメインストリームの教育経営の文脈の研究と比較した際に、周縁的な位置にとどめられていることも明らかになった。研究代表者の本研究課題およびこれまでの研究の成果が、こうしたペダゴジーの文脈にあることに鑑みた場合、単に全般的にレビューをすることにとどまらず、この文脈の研究の意義を押し出す必要があると考えた。 以上の事情から、当初の研究予定の通り、「生徒の声」研究の射程を広く捉える視点は持ちつつも、本研究課題の文脈の位置づけを強調するために、「ペダゴジーにおける生徒の声研究」という枠組みの独自性と重要性を示す論文を執筆した。当該論文は明治大学教職課程年報に2021年度末に掲載された。 他方で当初の計画で2021年度に行う予定であったミッチーの論文は、執筆と投稿を終えたものの、年度内の掲載(決定)には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に計画していたミッチーの論文は掲載に至らなかったものの、21年度から22年度にかけて調査・執筆を予定していた研究レビューは論文掲載まで実現できたため、おおむね順調に進展していると評価している。22年度は当初の研究計画に記載していなかった調査・執筆を行える見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
残念ながら、ミッチーについての論文は2021年度のうちに掲載には至らなかったが、リライトを重ねて2022年度中の掲載あるいは掲載決定を実現できるように研究を進めていく。また2022年度は、当初の研究計画には記載していなかったが、授業における生徒の「沈黙(silence)」を参加の1つの枠組みとして捉える研究を調査し、新たな論文執筆・投稿を目指している。ここまでの研究をまとめ、年度末に学位論文を提出することも目標とする。
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Causes of Carryover |
2021年度はCOVID-19の影響で、オンサイトでの学会大会開催がなく、旅費が発生しなかった。2022年度は、オンサイトでの学会大会開催もあるため、その参加の際に次年度使用額を使用していく。
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