2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on qualitative grasping of thinking in arithmetic and mathematics: From the perspective of teacher intervention in reflection
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21K20248
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
中尾 真也 平安女学院大学, 子ども教育学部, 助教 (20907745)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 振り返り / 振り返りカード / 思考の把握 / 質的研究 / 教師の介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、開発した振り返りカード「LEADカード」への学習者による記述と、教師の「LEADカード」へのコメントを質的に読み取ることで、振り返りの記述への教師の介入の在り方について明らかにすることである。 本研究では、学校現場における新規授業データの収録を行い、授業における振り返りの記述に対する教師の介入の在り方について、観察される教師と学習者の授業事象、記入された「LEADカード」の記述、及び学習者のノート記録を視点に実証的に探究することとした。具体的には、「学習者の思考に影響を及ぼす教師の『LEADカード』へのコメントの特定」及び「指導・評価改善に向けた教師の『LEADカード』への介入の在り方の検討」を行うこととしている。 今年度は、新たに授業記録を2種類(2人の教師による2つの単元)収録した。そして、振り返りへの教師の介入の在り方と指導改善への示唆を得ることを視点に分析を行った。その結果、振り返りへの教師の介入の在り方として、①振り返りの記述へのコメントによる介入、及び②児童が記入した振り返りを授業内で取り扱うという介入が効果的であることが示唆された。加えて、これら教師の介入は、児童の柔軟な考えを引き出す点や考えを統合する契機となる点、児童の思考を発展させたり振り返りを活用する指導へ繋げたりできる点から一定の効果があるという示唆を得た。他にも、振り返りへの具体例の記述を視点に、学習者の思考の把握を行う際のサンプリングの視点についても検討を行った。その結果、学習者が振り返りに記述する具体例を4種類同定し、同定した様相をサンプリング時の視点の一つとして用いることができることを示した。 2023年度は得られた知見をもとに研究をまとめることとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規授業データを2本収録し、授業データについて詳細に分析することができた。その中でも、振り返りへの教師の介入の在り方として2種類の方法が効果的であることを示すことができた。また、分析時のサンプリングの視点や「LEADカード」を多面的に読み解くことについての検討も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度も引き続き、新規授業データの収録を行う。現状、小学校における新規授業データを2本収録する予定であり、そのうち1本は長期的に収録を行う。これまでに得た授業データ、及び今後収録予定の新規授業データの分析を通して、振り返りへの教師の介入の在り方について検討し、研究のまとめとする。 研究のまとめでは、①振り返りへの教師の効果的な介入について、②振り返りへの教師のコメントの特徴といった視点から整理していく。
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Causes of Carryover |
学会がオンラインで開催されることも多く、予定よりも旅費の誤差が生じた。 今年度はほとんどの学会が対面で開催される予定であるため、予定通りの支出となる見込みである。その他、研究のまとめに必要な消耗品、備品、図書、論文抜き刷り代等に使用する。
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