2023 Fiscal Year Annual Research Report
保育実践における規範に関する検討:園や保育者の保育観に着目して
Project/Area Number |
21K20262
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
辻谷 真知子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90906265)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 規範 / 共有 / インタビュー調査 / 質問紙調査 / 戦いごっこ / 安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、前年度まで得られたデータの追加分析および結果の発表を行った。主な内容は以下4点である。 第一に、前年度までの保育者へのグループインタビュー調査で得られたデータをもとに、園の中での規範に関する考えの共有のあり方について検討した。その結果、具体的なきまりや判断について語り合うなかで、保育者間や保育者-子ども間での共有の必要性が改めて可視化されること、また、子どもの年齢やクラス、保育者の価値観といった判断の背景が保育者間で共有されること、さらに判断の難しさも共有されることが明らかになった。この点について2023年8月の日本教育心理学会大会で報告した。 第二に、質問紙調査の結果をもとにして、戦いごっこに関する保育者の判断についての分析を行なった。その結果、戦いごっこへの介入や推奨・禁止等において、安全面だけでなく子ども同士の関係性への配慮も重要な手掛かりとなっていること、また保育者の応答としては間接的な見守りを含め多様な内容がみられることが明らかになった。この点について2023年9月のヨーロッパ乳幼児教育学会(EECERA)大会にて報告した。さらに分析を進め、論文化を行う予定である。 第三に、保育者が規範を子どもに伝えるかどうか判断する際に重視する内容について、既に学会発表を行なっていた内容から再度分析を行った。具体的には、安全に関する語りに着目することで、保育者の判断には子ども個人の安全面等だけではなく、子ども間での関係性、保育者自身と子どもの関係、さらに保育者間・園全体や園外社会までの要因が相互に関連していることが示唆された。この点について現在論文化を行なっている。 第四に、本研究と関連の深い2019年度の質問紙調査をもとに、リスキーな遊びに関する園の規範と、保育者自身の子ども期におけるリスキーな遊び経験とについて分析を行い論文化した。
|