2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Educational Improvement Using DP Rubric in Japanese Universities
Project/Area Number |
21K20273
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
江幡 知佳 立教大学, 大学教育開発・支援センター, 助教 (20908157)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 教育評価 / 学修成果の可視化 / ルーブリック / DPルーブリック / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の初年度にあたる本年度は、DPルーブリックに関する大学訪問調査の実施に向けて、①日本の大学におけるDPルーブリックの活用状況の実態把握、および②先行研究の検討とそれに基づくインタビュー・ガイドの作成を行った。 そもそも、日本の大学におけるDP(カリキュラム・レベルの)ルーブリック活用の現状を把握するための資料は限られている。現状把握のための資料の一例として、文部科学省によって毎年度実施されている大学における教育内容等の改革状況に関する調査の結果がある。当該調査(令和元年度)の結果を参照すると、同年度に「学修成果の把握方法」として「学修評価の観点・基準を定めたルーブリック」を挙げた大学は、全体の19.6%(国立19大学、公立5大学、私立64大学の計88大学)にのぼっている。ただし、それらの大学が学修評価の観点・基準を定めたルーブリックをどのように活用し、学修成果の把握を図っているか等の点に関しては不透明である。そこで、各大学におけるDPルーブリックの活用の現状に関してより詳細に把握するため、機関別認証評価関連文書(自己評価書、評価報告書)を分析した。 具体的な作業は以下のとおりである。機関別認証評価第3サイクル(2018年度~2021年度)に限定し、上記関連文書中で「ルーブリック」の文言が含まれている箇所を抽出した。そして、当該箇所がカリキュラム・レベルのルーブリック活用に関して言及している箇所か、課題あるいは科目レベルのルーブリック活用に関して言及している箇所か分類した。その後、カリキュラム・レベルのルーブリック活用に言及している箇所については、具体的な活用方法という観点からさらに分類した。 上記の検討の結果を踏まえて、現在訪問調査対象大学の選定を終えた。また、先行研究の検討に基づきインタビュー・ガイドの作成を完了しており、現在、所属大学の研究倫理審査を受けている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の初年度にあたる本年度は、着任した大学における研究倫理審査の規定の詳細を確認していたことなどもあり、大学訪問調査の実施には至らなかった。しかし、DPルーブリックやより広く高等教育段階における教育評価に関する先行研究の収集、検討を進め、また、文献調査に基づいて可能な限りDPルーブリックの活用実態の把握に努めることができた。これにより、次年度における調査実施の見通しが立っている。ゆえに、「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下のとおりである。①現在、所属機関の研究倫理審査を受けており、許可が下り次第、文献調査に基づき選定した訪問調査対象大学に調査協力を依頼する。②訪問調査を実施する。なお、新型コロナウイルス感染症の流行状況に鑑みて、適宜オンライン(Zoom)での調査実施を検討する。③得られた結果を分析し、各大学において、DPルーブリックがどのように教育改善につながったのかを議論する。そして、DPルーブリックの作成・活用にいかなる工夫が必要かを示唆する。 なお、研究成果については、次年度、国内学会の大会で発表することを検討している。その後、学術論文のかたちでの公表を目指す。
|
Causes of Carryover |
所属機関の研究倫理審査の規定の詳細等を確認していたことがあり、今年度、訪問調査の実施が実現しなかったため、また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、他機関所属の研究者から研究計画に関する助言を受ける際にも対面でなくオンライン(Zoom)の形態をとったため、次年度使用額が生じた。次年度、訪問調査を実施できる見通しは立っているため、使用計画として、訪問調査にかかる旅費やインタビュー調査の文字起こしの委託費への計上を見込んでいる。
|