2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Educational Improvement Using DP Rubric in Japanese Universities
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21K20273
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
江幡 知佳 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (20908157)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 教育評価 / 学修成果の可視化 / ルーブリック / DPルーブリック / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教育プログラムごとに設定される学位授与方針に基づくルーブリック(以下、DPルーブリック)が日本の大学の教育改善にいかなる役割を果たしうるかを考察することである。この目的を達成するため、研究期間の2年目に当たる本年度は、具体的な作業として、所属機関の研究倫理審査の受審、前年度の文献調査に基づくインタビュー調査対象大学の選定、調査依頼、調査実施(対象:計6大学の大学教育センター等/3大学は対面で、3大学はオンライン(Zoom)で実施)、報告書の作成等を進めた。また、現在得られた結果に関する分析の途中であるが、11月には研究の中間報告という位置づけで国内学会(日本教育制度学会第29回大会)での発表を行った。 インタビュー調査では、主な質問項目として、①DPルーブリックの作成・活用を開始した経緯について、②DPルーブリックの作成過程について、③DPルーブリックの活用過程について、④DPルーブリック自体の点検・改善について、⑤DPルーブリックを用いた教育改善について、以上5点を設定した。インタビュー調査の結果、大学におけるDPルーブリック導入の背景には、3つのポリシーに基づく教育の質保証体制を構築する必要性があったこと/DPルーブリックは、主に学生による自己評価やゼミの教員による他者評価等に用いられているが、評価実施率の点で(学部学科間で差がある等)課題を抱えていること/DPルーブリックの点検(信頼性、妥当性の検証)も今後の課題として認識されていること等が明らかになった。 ルーブリックは、課題/科目/カリキュラムレベルの3類型で理解されることが多い。それらのうち、本研究が対象とするDPルーブリックを含むカリキュラムレベルのルーブリックの開発過程に関する先行研究は少ない。本研究で得られた知見は、日本の大学におけるその開発過程に関する研究の蓄積の重要性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたとおり、2022年度は、計6大学を対象としたインタビュー調査の実施や報告書の作成、学会発表等を進めることができた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大やそれへの感染等に伴う自身の体調不良により、得られたデータの分析作業に遅れが生じ、学術論文化に至らなかった。ゆえに、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査を通じたデータの取得は既に終えている。2023年度は、引き続きデータ分析に取り組み、①元々、ルーブリックは作文の評価方法の標準化を目的として開発されたものであるが、その当初の目的を離れたカリキュラムレベルのルーブリック=DPルーブリックは、現在の日本の大学においていかなる役割を付与されているのか、②その役割を果たせているのかいないのか、③果たせていないのであればそれはなぜか、といった点について考察を深める。
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Causes of Carryover |
当初、インタビュー調査を訪問調査(対面実施)の形式で実施することを前提に旅費を計上していた。しかし、調査実施時期(2022年6月~7月頃)に新型コロナウイルス感染症が流行していたため、6大学中3大学についてはZoomを用いたオンライン調査の形式で実施せざるを得なかった。結果として、次年度使用額が生じることとなった。 今後の使用計画として、データ分析、考察の際に参照する文献の購入、ならびに成果発表のための旅費等を見込んでいる。
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