2021 Fiscal Year Research-status Report
「種の論理」から「市民主義」の教育思想へ:田邊元と久野収の教育論に着目して
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21K20279
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Research Institution | Yamanashi Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
川上 英明 山梨学院短期大学, その他部局等, 講師(移行) (40910469)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 久野収 / 田邊元 / 種の論理 / 市民主義 / 京都学派 / プラグマティズム / 個人主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究期間開始からのおよそ半年間、文献や資料の収集・読解に努めた。その際、研究計画書で設定した2つの研究軸についての解明を進めた。(1)久野による「種の論理」解釈の独自性の解明については、久野が田邊元に言及しながら、その独特な「種の論理」を批判する論理に焦点化して、その批判の妥当性や限界の検討を進めている。(2)久野の教育思想と市民主義との関係性の解明については、久野が戦後に発表していた教育に関する諸論文や、1952年の岩波講座『教育』に掲載している論文を読解するとともに、久野の「市民主義」と呼ばれる立場の特徴を精査して、両者の共通点を検討している。 本年度の研究実績は、研究期間がおよそ半年に限られていたため、成果の公表には至らなかったが、上記の研究成果については論文としてまとめている最中であり、2022年度内に国内学会での発表と学会誌への投稿を予定している。また、本研究の問題意識の背景をなすところである博士論文『京都学派の緊張と教育学への越境:田邊元の哲学と森昭の教育思想』を書き上げ、口頭審査を経て、博士の学位を取得した。この博士論文で明らかにした、京都学派、特に田邊哲学の力学と、田邊の弟子にあたる森の教育思想との間の緊張関係に関する知見は、本研究の基本的な視座を供している。 なお、新型コロナウィルスの蔓延状況にかんがみて、本年度は資料収集のための移動がかなわなかったが、次年度では可能な範囲で資料収集を試みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目にあたる本年度は、文献の収集・読解を進めつつ、博士論文を完成させ、学位を取得することができた。本研究の基盤が固められ、次年度以降の研究成果の公表のための準備が整えられたと言える。また、論文の構想も進み、現時点で2万字程度の草稿が用意できている。文献調査で可能な範囲では、想定よりも順調に進んでいると考えられる。 ただし、研究計画書の(2)については順調であるが、(1)については、「種の論理」関連の先行研究および一次資料の読み込みに甘さが残り、さらなる読解と検討が必要である。また、新型コロナウィルスの感染拡大によって、資料収集が進められなかったことも重なり、未発見の資料にあたることが次年度の課題となる。以上のことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書で立てた計画を大幅に変更する必要はなく、2022年度も引き続き、文献や資料の収集・読解に努め、論文化するための検討を進めていく。とりわけ、研究計画の(1)に関わる内容を精査し、今後の研究成果の公表につなげていく。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナウイルス感染拡大予防の観点から、資料収集のための旅費を使用できなかったことと、研究の遂行状況に鑑みて、研究に必要ではあるが急いで入手する必要はない文献などについては購入を見送ったため。 2022年度は、引き続き文献の収集を行うため、大半の助成金をそれに費やすが、資料収集の実施を計画しており、その旅費としても助成金を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)