2022 Fiscal Year Annual Research Report
がんサバイバーの認知機能障害を引き起こす神経認知と脳活動変化の解明
Project/Area Number |
21K20286
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
齊田 和哉 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (30911565)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ケモブレイン / 抗がん剤 / 化学療法 / ブレインフォグ / 神経心理学的評価 / 高次脳機能評価 / NIRS / 脳活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん関連の認知機能障害、特に化学療法誘発性の認知機能障害(ケモブレイン)は、がんサバイバーの社会復帰を妨げる要因である。しかしながら、ケモブレインは簡易的な認知スクリーニング検査のみでは実態を捉えることが難しいと考えられている。本研究では、ケモブレインの症状を主観的ならびに客観的な認知機能評価に加え、脳活動計測法を用いて縦断的に調査することを主目的とした。まず、初年度にケモブレイン評価に関して文献レビューした内容を、最終年度に国際ジャーナルおよび主要学会発表によって成果報告した。併行して、ポータブル型脳活動測定機器の安全性と脳活動測定のプロトコルを確立するための予備的実験を行い、その成果の一部を2023年に国際学会にて報告する予定である。最終年度では、隣接する大学病院の消化器外科の協力の下,消化管がんに対する前向きな縦断研究に取り組んだ。2023年3月時点で、化学療法群10例、健常コントロール群15例のデータを取得している。得られた結果として、化学療法開始前のベースライン評価では、健常コントロール群に比して主要な主観的ならびに客観的認知評価に有意差を認めなかった。脳活動評価では、健常コントロール群に比して前頭前野の計測領域において有意差を認めなかった。以上より、消化管がん患者の化学療法前には認知機能は保たれている可能性が高いことが判明した。一方で、現在化学療法後のフォローアップ評価を取得できた2例の認知機能評価の結果では、2例ともに顕著な認知機能低下を示していた。今後の研究の展開として、データ集積を継続しつつ,化学療法後のケモブレインの症状の成果を主要学会や国際誌で報告することで,がん関連の認知機能障害の周知ならびにリハビリテーション支援につなげていきたいと考える.
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Research Products
(4 results)