2022 Fiscal Year Research-status Report
未知・未経験の事象が行動に及ぼす影響の定量的測定法の開発
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21K20287
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 敏 神戸学院大学, 心理学部, 実習助手 (40910261)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 実験心理学 / 学習・行動分析 / 行動経済学 / 関係フレーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
未知・未経験の刺激が行動を制御する刺激(強化子)としての機能を獲得する背景には、刺激機能の変換が関係していると考えられる。刺激機能の変換とは、特定の機能を持たない中性刺激と、何らかの機能を持つ刺激との間に特定の関係性が確立されると、その関係性に応じて中性刺激の機能が変化することを指す。未知・未経験の刺激の強化子としての機能がこのプロセスによって確立されるのであれば、その効力は関係性の学習に関わる諸要因(どういう関係性なのかや元の刺激の価値の大きさ、学習量、学習方法など)によって変動すると想定される。これを検討するためには、未知・未経験の刺激の価値を数値化する必要がある。強化子の価値を数値化する方法の1つに、ある強化子を得るために必要なコストを操作して消費量の変化を測定するという方法があり、この方法で需要弾力性として推定された強化子の価値は強化真価(essential value: EV)と呼ばれる。以上を踏まえ、2022年度に実施された第1実験では、見本合わせ課題によって既知の刺激と未知・未経験の刺激の間に等価関係を確立し、それぞれのEVを仮想購入課題を用いて測定することで比較検討した。実験の結果、刺激間関係の訓練前には何の機能も持っていなかった未知・未経験の刺激の価値が、等価関係を確立することで関係づけられた既知の刺激と同程度まで上昇することが示された。本実験の結果は日本行動分析学会第40回年次大会で発表され、同大会の若手研究者優秀発表賞を受賞している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響により、全体的なスケジュールの遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2023年度前半に第1実験の追加実験を実施する予定である。追加実験の結果を併せて、第1実験の成果は2023年度中に論文化することを目指す。また、これと並行して、2023年度後半に第2実験を実施する予定である。第2実験では、既知と未知の刺激間に等価ではない関係性(類似や比較など)を確立し、未知・未経験の刺激の価値がどのように変化するかを既知の刺激と比較することで検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19により、実験のスケジュールが延期されたために人件費および謝金の未使用額が生じ、学会への参加が制限されたために旅費に未使用額が生じた。2023年度の使用計画として、人件費および謝金については、当初の予定通り謝金として使用する。旅費については、研究代表者の所属の変更に伴う調整のため、当初の予定とは異なる費目に当てる可能性がある。
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Research Products
(3 results)