2021 Fiscal Year Research-status Report
ほめることが「ほめ手」に与える影響:親を対象とした検討
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21K20288
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
柿沼 亨祐 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 助教 (00909236)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動機づけ / ほめ / 親 / 内発的動機づけ / 粘り強さ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、親が子どもを才能や努力についてほめる頻度と、親の仕事への動機づけとの関連を検討するために、小中高生の親653名を対象に調査を行った。子どもをほめる頻度として、直近1ヶ月間でどのくらい長子を才能についてほめたか (e.g., 才能がある)、努力についてほめたか (e.g., がんばった) を測定した。仕事への動機づけとして、仕事への粘り強さ (e.g., 私は自分の職務を完了させるまで粘り強く取り組んでいる)、仕事の楽しさ (e.g., 仕事をすることは楽しい) を測定した。また統制変数として、職務パフォーマンス、職務特性、親の性別・年齢を測定した。 分析の結果、他の変数を統制してもなお、努力ほめの頻度と仕事への粘り強さの間に統計的に有意な正の関連が見られた。一方で、才能ほめの頻度と仕事の粘り強さの関連は有意ではなかった。仕事の楽しさと才能ほめの頻度との関連、努力ほめの頻度との関連は有意ではなかった。これらの結果から、子どもを努力についてほめる頻度の高さと、仕事に粘り強く取り組む傾向の高さが関連していることが示され、仮説が一部支持された。才能ほめの頻度と仕事の動機づけの間に負の関連があると予測していたものの、その仮説は支持されず、先行研究とは異なる結果となった。この結果が得られた理由について、今回のサンプルでは親が子どもを才能についてほめる頻度が、先行研究での大学生が友人を才能についてほめる頻度よりも低かったことが関連している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、当初計画の研究1に当たる調査を実施した。才能をほめる頻度と仕事への動機づけとの関連は見られなかったものの、努力をほめる頻度と仕事への動機づけとの関連は見られた。したがって、本研究課題の進歩状況はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、親を対象としてオンライン実験を行い、親のほめ方を実験的に操作して、動機づけへの影響を検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度は調査委託費用が当初の見積額よりも低くおさまったため。 2022年度、行動実験の実施と、学会や論文での成果発表のための経費に使用する予定である。
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