2022 Fiscal Year Annual Research Report
ほめることが「ほめ手」に与える影響:親を対象とした検討
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21K20288
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
柿沼 亨祐 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 助教 (00909236)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動機づけ / ほめ / 親 / 内発的動機づけ / 粘り強さ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、親が子どもを努力や才能についてほめることが、親自身の仕事への動機づけに与える影響を実験的に検討した。小学生の親396名がオンライン実験に参加した。参加者はまず過去1ヶ月間の仕事の達成志向動機づけ、仕事パフォーマンス、職場状況に関する質問項目に回答した。そして、参加者は、自分の子どもが成功したエピソードを記述した後に、その子どもを、努力についてほめる文章を記述する条件、才能についてほめる文章を記述する条件、ほめる文章は記述しない条件の3つの条件のいずれかにランダムに割り振られた。子どもの成功エピソードの記述とほめる文章の記述を3回ずつ繰り返した後、参加者は今後1ヶ月間の仕事の達成志向動機づけに回答した。 分析の際、実験条件をダミーコード化した。ほめなし条件を参照条件に設定し、努力ほめ条件とほめなし条件を比較する努力ほめコードと、才能ほめ条件とほめなし条件を比較する才能ほめコードの2つのコードを作成した。説明変数を各コード、仕事パフォーマンス、各コードと仕事パフォーマンスの交互作用、結果変数を仕事の達成志向動機づけとする重回帰分析を行った。その際、過去1ヶ月間の仕事の達成志向動機づけと職場状況を統制した。その結果、才能ほめコードの交互作用からの影響は有意ではなかった一方で、努力ほめコードと仕事パフォーマンスの交互作用から仕事の達成志向動機づけへの影響が有意であった。単純傾斜分析の結果、仕事パフォーマンスが低い人でのみ、努力ほめコードから仕事の達成志向動機づけへの正の影響が有意傾向であった。このことから、仕事パフォーマンスが低い人は、子どもを努力でほめた場合、ほめなかった場合と比べて、今後の仕事の達成志向動機づけが高くなることが示唆された。
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