2022 Fiscal Year Research-status Report
使用する手の選択に関する神経基盤の解明:前頭・頭頂葉ネットワークに着目して
Project/Area Number |
21K20293
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平山 健人 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (00907131)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 行動選択 / 意思決定 / 上肢選択 / 非侵襲的脳刺激法 / 非侵襲的脳画像法 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ある目標物に対して手を到達させるときに、左右どちらの手を選択して使うかという手の選択に関する脳内ネットワークを解明することである。脳波解析および非侵襲的脳刺激法の1つである経頭蓋交流電気刺激法を用いて、行動選択に関係があるとされる後頭頂葉と運動前野の機能的結合と手の選択との関係性について検討を進めている。2022年度は、昨年度に計測した健常者の脳波データを用いて、機能的結合を抽出するための解析を行なった。現在は、信号源推定まで行なっており、引き続き解析を行う予定である。また、経頭蓋交流電気刺激法を用いて、運動前野および後頭頂葉の機能的結合を促進または抑制し、手の選択に及ぼす影響を検討している。経頭蓋交流電気刺激法は、頭皮上から交流電気刺激を複数の脳領域に同時に刺激することで、刺激直下の脳領域間の機能的結合を促進または抑制できる方法である。2022年度は、経頭蓋交流電気刺激装置の不具合があり、予定していた人数の計測を行うことができなかった。そのため、計測を継続中である。その代わりに、後頭頂葉と運動前野の神経活動を変調することができる手首からの経皮的電気刺激法が手の選択に及ぼす影響を検討した。こちらは14名分のデータを収集し、電気刺激側の手が選択されやすくなることを示唆した。この結果を学会にて発表し、現在は国際科学誌に投稿準備中である。本研究によって、手の選択に関する脳内ネットワークが明らかとなり、さらに、非侵襲的な脳刺激法を使い手の選択率を変化させることができれば、脳卒中患者の麻痺手の使用を促すリハビリテーションに応用できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、一部の研究について、研究機器の不具合により進捗が滞っているところがある。具体的には、経頭蓋交流電気刺激の実験では、2022年度中に計測を終える予定であったが、予定していた人数を計測できなかった。そのため、2023年度も計測を継続する予定である。一方で、追加で行なった手首からの経皮的電気刺激が手の選択に及ぼす影響を検討した研究は結果を学会にて発表できたことから、全体的には、比較的順調に進んだと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳波実験の解析を進め、後頭頂葉と運動前野の信号源の神経活動パターンから、手の選択に関する機能的結合を推定する。経頭蓋交流電気刺激実験については、予定している人数のデータを取得するために計測を継続する。データが揃い次第、そのデータを解析し、運動前野と後頭頂葉の機能的結合を促進または抑制した場合に、手の選択がどのように変化するか検討する。さらに、手首への電気刺激が手の選択に及ぼす影響を検討した実験結果は、速やかに国際誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度に、予定していた人数のデータが収集できなかったため、次年度の支出が生じた。2023年度も引き続き、計測と解析を行い、成果を学会や学術誌で発表する予定である。そのための研究費を支出する。
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Research Products
(5 results)