2022 Fiscal Year Annual Research Report
児童期の潜在的な向社会的動機の測定法開発と援助行動及び精神的健康との関連
Project/Area Number |
21K20296
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
横嶋 敬行 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 助教 (90909631)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 向社会的動機 / 潜在連合テスト / 児童期 / 援助行動 / 向社会的行動 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,児童期の潜在的な向社会的動機の測定法の開発を行い(研究目的1),援助行動ならびに精神的健康の関連について明らかにすること(研究目的2)を目的として研究を行った。 令和3年度は,新型コロナウイルスの影響でフィールド調査が難航したため,当初の計画を変更し,目的1のPro-IATの信頼性と妥当性に関するデータの一部を収集しつつ,目的2の研究を中心に進めることになった。そのため,令和4年度は,Pro-IATの信頼性(再検査法)と妥当性に関する詳細なデータを収集し検討を行った。 目的1の研究成果については,作成したPro-IATの信頼性と,潜在的な向社会的動機を測定していると考えられる複数の根拠(妥当性)を得ることができた。児童期の潜在的な向社会的動機の研究は未開拓であったため,本研究の成果によって今後の研究可能性を広げることができた点に意義・重要性があると考えられる。 目的2の研究成果については,次の2点が特筆される発見であった。第1に,潜在的な向社会的動機と援助行動との関係である。潜在と顕在の2つの心的特性を対比的に扱っている多くの先行研究が示すとおり,援助行動においても,潜在と顕在の2つの動機がそれぞれ異なるプロセスで行動の発現に関連していることが分かった。第2に,精神的健康との関連である。今回はストレス反応を精神的健康の指標として用いたが,潜在的な向社会的動機は複数のストレス反応の負の関連を示した。先行研究では,援助行動は助けられる相手だけでなく,助ける者の精神的健康を高めることが示されている。動機の側面においても,潜在的に他者を思いやる気持ちと精神的健康には一定の関連があることが分かった。本研究の成果によって,学校教育等で行われる思いやりの心の育成・教育に対して,潜在的な向社会的動機という新しい視点を提供できたことに本研究の意義・重要性があると考えられる。
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Research Products
(2 results)