2021 Fiscal Year Research-status Report
女子大学生の摂食障害に対するピア実施者によるユニバーサルタイプの予防的介入
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21K20309
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
上田 紗津貴 関西学院大学, 文学研究科, 大学院奨励研究員 (00908080)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 予防 / 女子大学生 / オンライン調査 / スティグマ / 援助要請 |
Outline of Annual Research Achievements |
海外では、摂食障害に対する予防的介入の第一選択肢として「不協和理論に基づく介入(Dissonance-based intervention; DBI)」が推奨されている。しかし、日本では摂食障害に対する予防的介入の報告が少ない。日本では摂食障害を専門とする介入の実施者が不足しており、実施者をトレーニングする方法もほとんど確立されていないという実施者側の問題があった。また、精神疾患へのスティグマや援助要請への抵抗感から、摂食障害などの精神疾患を持つ者や発症リスクを持つ者が、適切な治療や支援にたどり着くことができないという参加者側の問題もあった。本研究では、日本の女子大学生を対象に、ピア実施者による摂食障害の予防的介入によって実施者側・参加者側の両者の問題を同時に解決できるかを検討する。 本年度は、女子大学生の摂食障害およびメンタルヘルスに関する調査研究を実施した。方法として、女子大学生2180名に自己報告式の尺度を用いたオンライン調査を行った。調査内容は、摂食障害の診断、摂食障害のリスク要因、摂食障害および関連する精神疾患の症状、精神疾患へのスティグマ、ピア実施者や専門家に対する援助要請等であった。本調査で得たデータは現在分析中である。女子大学生における摂食障害の有病率、発症プロセス、関連する精神疾患との関連、そして介入へのアクセスを促進・阻害する要因を検討することで、女子大学生におけるメンタルヘルスの問題の実態の把握や、治療的・予防的介入に対する臨床的示唆を提供することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施を計画していた研究(女子大学生を対象としたオンライン調査)を完了することができ、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度の研究で得たデータを基に、女子大学生のメンタルヘルスの問題や介入へのアクセス促進・阻害要因について検討を行う。そして、その結果に基づいてピア実施者のトレーニングマニュアルを整備し、ピア実施者による摂食障害の予防的介入の実施可能性を検討するための介入研究を行う。
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Causes of Carryover |
本年度購入を予定していた物品の一部を年度内に購入しなかったこと、新型コロナウイルス感染症の影響で学会に参加しなかったことにより、次年度使用額が生じた。次年度使用額は物品購入および学会参加等によって使用し、次年度分として請求した助成金は当初の計画通り使用する予定である。
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