2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K20315
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
櫻井 陽平 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90907958)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | Ricci流 / 調和写像流 / Liouville定理 / グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はまず國川慶太氏(宇都宮大学)と共同で優Ricci流(Ricci流の優解)の古代解に沿う調和写像流のLiouville性質に関する研究を行った.研究開始時以前に國川氏と共同で同様の設定のもと,熱方程式の古代解に対するLiouville定理を得ており,そのターゲットの空間を一般化する試みである.我々はターゲットの空間に対して断面曲率の上からの有界性,さらに調和写像流に対してPerelmanの簡約距離に関する増大条件を課しLiouville定理を導出することに成功した.我々の結果における調和写像流の増大条件について,ターゲットの空間が非正曲率を持つ場合はシャープであるが,断面曲率が上から正の定数で押さえられている場合はシャープであるかは不明である.我々は増大条件の適切性に関する研究を推し進め,時間が止まっている場合に(すなわち調和写像の場合に)ほぼシャープなものに改良できることを示した.ここではSchoen-Uhlenbeckにより構成された例が深く関わっている.証明の鍵はEcker-Huiskenによる極小曲面に対するBernstein型定理の証明のアイデアを調和写像に対して応用する点である.これらの研究成果を論文に纏め,査読付き学術誌に投稿し掲載受理された. また小澤龍ノ介氏(防衛大学校),山田大貴氏(島根大学)と共同で離散空間上の優Ricci流に関する研究を行った.離散空間に対してはその構造を反映したRicci曲率の下界性の概念を導入する試みがいくつかなされているが,優Ricci流に関してもいくつかの定式化が考えられる.我々はBakry-Emery理論の観点から時間依存版Bochner不等式を用いた定式化を与え,その性質の解明を試みた.当該年度は具体例の構成および関数不等式による特徴付けに関して知見を得ることが出来た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ricci流の幾何解析に関して一定の研究結果が得られたため.また離散空間上の幾何解析について次年度以降の土台となる知見が得られたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
Ricci流の幾何解析の研究を推し進め,Colding-Minicozzi型Liouville性質の導出を目指す.また離散空間上の優Ricci流の研究を推し進め論文に纏める.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究集会が中止やオンライン開催となり,研究発表,研究打ち合わせの機会が得られなかったため次年度使用額が生じた.次年度は国際研究集会への参加や研究打ち合わせを積極的に行う予定である.
|